【再録】生前のカダフィは「国民に愛されている」と言っていた
――パンナム103便爆破の黒幕はジブリル、あるいはイラン人だという報道があるが。
もしジブリルの犯行なら、そう名乗りを上げていただろう。だがイランなら、それなりの理由があるかもしれない。彼らはアメリカに民間航空機を撃墜されている。
――最近の出来事に移るが、(94年2月にユダヤ人入植者がパレスチナ人29人を殺した)「ヘブロンの虐殺」に対するパレスチナの報復を支持するか。
パレスチナ人は毎日のように殺戮の犠牲になっている。彼らには自分の命を守る権利がある。
――リビア国民の間に不安が広がっているのでは? 昨年末に軍の一部が反乱を起こしたと伝えられているが。
何のために、彼らが私に歯向かうのかね? クーデターを起こしてなんの得がある? 私は何ももっていない。リビアの政治体制は他国のそれとは違う。権力は国民の側にあるのだから、権力闘争などは無意味なのだ。
――国民全員があなたに満足しているのか。
権力も武器も富も国民のものだ。私が手に入れて、国民に渡した。だから彼らは私を愛し、尊敬しているのだ。
――昨年末にはカイロで、リビアの反体制派のマンスール・キヒアが消息を絶っているが。
大変心配している。彼もリビアの国民だ。カイロにはアメリカの諜報員がうようよしている。奴らの仕業だろう。
――あなたはパンナム機爆破事件へのリビアの関与を否定している。それなら、なぜ容疑者の引き渡しを拒むのか。
本人の意思に反して引き渡すことは絶対にできない。彼らの人権を侵すことになるし、わが国の法律にも反する。
――経済制裁でリビアが石油を輸出できなくなれば、困るのはリビア国民ではないか。
ヨーロッパのほうがもっと困るだろう。リビアに進出しているヨーロッパ企業は多いが、彼らは契約も仕事も原油も失うことになる。
――西側の人間があなたに敵意をいだくのはなぜだと思うか。
私を知らないからだ。私のイメージはゆがめられている。たとえば私が詩人であることも、哲学、社会学、歴史学の教授であることも知られていない。私は最高指導者でなければ、作家か教師になっていただろう。
※このインタビューを行った記者の回顧録はこちら:【再録】念願のカダフィ単独取材、私は砂漠の町へ飛んだ
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[2006年2月 1日号掲載]