公開状「習近平は下野せよ」嫌疑で拘束か?――中国のコラムニスト
しかし、たとえば北京の有線テレビとかホテルのテレビなどで、日本のテレビの「中国政府に不利な有害情報」が出た瞬間に、テレビの画面がブラック・アウトするくらいのハイレベルの技術を中宣部は持っている。その時間は1秒よりも短い。テレビもネットも、すべて中宣部の管轄下にある。ましてや中国政府の通信社「新華社」のウェブサイトに、このような誤字が出てくることは、非常に考えにくい。
賈葭氏が今般の公開状に関わっていたのか否かは別として、第二、第三の賈葭氏に相当したような人物が、新華社内部にもいたという可能性は否定できない。
賈葭氏は、かつて、香港の報道機関にもいた
賈葭氏は実は、香港の『陽光時務週刊』の副編集長をしていた時期があり、また香港のリベラルなメディアである『端傳媒』(傳媒はメディアの意味)の評論部門の編集長をしていた時期もある。
筆者は1月末、まさにこの『端傳媒』の総編集長である張潔平氏から取材を受けたばかりだ。
彼女はイギリスのBBC中文網が筆者の書いた『毛沢東 日本軍と共謀した男』に関して報道しているのを見て、どうしても筆者を取材したいと言ってきた。
「香港は一国二制度とはいっても、中国の管轄下にあるから、こんなものを載せても大丈夫なの?」と筆者が聞くと、「大丈夫よ。私たちはいつでもリベラルな報道をしているわ。多少は大陸の当局から睨まれてはいるけど、でも平気!」と張潔平氏はそのとき笑っていたのだが、なぜか、連絡が途絶えた。
やはり、まずいのだろうなぁと思っていたところ、賈葭氏の拘束を知ったのである。
香港メディアによると、張潔平氏はつい最近、香港の大学で講演し、「最近は大陸の当局の監視が非常に厳しくなっている」と述べたとのことだ。
賈葭氏も実は3月17日に香港で「香港は誰のものか?」というスピーチをすることになっていたという。
共通しているのは、国と党を思う「真の愛」と「良心」
2月29日付けのコラム<中国著名企業家アカウント強制閉鎖――彼は中国共産党員!>で、中国共産党員の任志強氏が「自分こそは忠誠なる共産党員だ」として習近平政権あるいは現在の共産党政権を批判する発信を盛んにしていたことを書いた。彼のアカウントは強制的に閉鎖されてしまったのだが、「習近平よ、辞職せよ」という趣旨の公開状にも、冒頭に「私たちは忠誠なる共産党員として習近平に忠告する」という旨のことが書いてある。