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公開状「習近平は下野せよ」嫌疑で拘束か?――中国のコラムニスト

2016年3月22日(火)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 つまり、中国共産党員自身が、「中国共産党政権というのは、これでいいのか?」という疑問を、命をかけて発信しているのである。このシグナルをつぎつぎに強権的に摘み取っていく現実こそが、「中国共産党政権というのは、これでいいのか?」と疑問を発したくなる原因を作っているのではないのだろうか?

 アカウントを閉鎖された中国の著名な企業である任志強氏のコメントも、公開状に書かれている文言も、いずれも説得力のあるものだ。

 そこには国を思う「真の愛」があり、中国共産党員としての「良心」があるように筆者には映る。

 中国共産党が、もともとは日本軍と共謀しながら発展してきたものであったとはいえ、毛沢東は少なくとも中国という国を建国した。そして中国人民はみな、(それが虚偽のスローガンであったとしても)かつては中国共産党を信じて生きてきた。その心が限界に来たとき、人民は爆発する。そして中国共産党による一党支配政権は崩れていくのだ。

「愛」は何よりも強いものである。「愛」以上に強い「怒り」はない。

追記:新華社傘下の週刊誌名は『暸望東方周刊』で、途中を省略して書いていたことに気づいたので加筆修正しました。失礼しました。

[執筆者]
遠藤 誉

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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