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対ロ関係

新世代と「ソ連根性」の対立。経済制裁下のロシアで見た明暗

2016年3月15日(火)16時52分
河東哲夫(本誌コラムニスト)

 今、日本では安倍首相が5月頃にロシアを訪問するのかどうかが話題になっている。オバマ米大統領が今はまずいと電話してきたり、ロシアの新聞までが「日本は恩を売って領土を奪いたいだけ。その手に乗るな」と訪ロに反対したり、にぎやかだ。

 ここまできたら、アメリカを説得して訪ロを実現しないと、日本外交はますます矮小化する。日ロ平和条約の締結問題を前に進めるとともに、シリアとウクライナの安定を条件に経済協力の方向を話し合うなら、アメリカも納得せざるを得まい。ただ、「日本はアメリカの言いなり」が相場になっているアメリカとしては、日本の反抗に円高放置などでしっぺ返しするだろう。

 そして訪ロするなら、ロシアの宣伝に利用されないようにする必要がある。宣伝の世界では先に言ったほうが勝ち。今のロシアはこの点で仁義を守らない。ウクライナとシリアに対するロシアの一方的な介入の停止を日本は強く求め、「クリミアがロシア領なら、北方領土が日本領というのも分かるだろう」くらい言えばいい。日本も権謀術数を駆使して「ワル」にならねば今の世界でやっていけない。

[2016年3月15日号掲載]

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