「不法移民防止の壁」で死にゆく野生動物
2016年3月9日(水)15時33分
「動物は無駄な移動はしないと考えられている。わざわざ遠回りしてまで壁の向こうに行くのは生存に必要な何かがあるからだろう」と、米内務省の魚類野生生物局(FWS)の生物学者ヒラリー・スワーツは指摘する。抜け道を閉ざせば、ボブキャットはその何かを得られなくなる。
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リオグランデ渓谷には50頭ほどのネコ科のオセロットも生息する。アメリカに残された唯一の野生オセロットの個体群だが、その運命も風前のともしびだ。
オセロットは草木の茂った場所を移動するが、壁の両側には帯状の裸地がある。抜け道があっても、オセロットは裸地を通って壁の向こうに行こうとはせず、メキシコ側にいる仲間とは交配できなくなるだろう。
豊かな生態系が失われれば、地域の住民と産業は大きな経済損失を被る。国境を超える商業的・文化的な交流も失われる。誰のため、何のための壁なのか。地域の人々はそう問い掛ける。
[2016年3月 8日号掲載]
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