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ファシズムポーランド誌表紙にウェブ騒然、「欧州をレイプするイスラム」
難民危機で排外主義を強める欧州に現われたファシズムの亡霊
恐怖に駆られて ポーランド中部の都市ウージでは右派が反イスラムデモに集結 Marcin Stepien/Agencja Gazeta--Reuters
ファシズムの宣伝ポスターそっくりだ──ポーランドの保守系週刊誌の衝撃的な表紙がソーシャルメディアで轟々たる非難を浴びている。
問題になったのは、有力誌wSieci(「ネットワーク」の意味)の最新号。同誌は今週「欧州をレイプするイスラム」という特集を組み、排外主義むきだしの表紙を使った。EU旗のドレスを着た金髪女性がアラブ系とみられる浅黒い男たちにレイプされそうになり悲鳴を上げている図だ。
ツイッターのユーザーがこの表紙にムッソリーニ時代のイタリアの宣伝ポスターを対置し、図柄が酷似していると指摘した。
Left: Polish magazine @Tygodnik_Sieci, 2016. Right: Fascist Italy's poster, 1943. pic.twitter.com/cCqLpZR3sd
— Alessio Fratticcioli (@fratticcioli) 2016, 2月 16
「左はポーランドの雑誌(2016年)、右はファシスト政権時代のイタリアのポスター(1943年)」
さらに、ナチスの宣伝ポスター(下の写真の右上)にも似ていると、他のユーザーが指摘した。
the poster on the "Islamic rape of Europe" has a long history of colonial propaganda to draw inspiration from pic.twitter.com/eZYvk0FzqK
— /kaw・re?d?/ (@kawrage) 2016, 2月 17
「この図柄は長い間、植民地支配のプロパガンダに利用されていた。『欧州をレイプするイスラム』はそこから着想を得たものだ」
wSieci誌はこの特集について、「メディアとEU官僚の隠蔽工作でEU市民に知らされていない実情」に切り込む総力特集と紹介している。その1つ「ヨーロッパ・地獄の惨状」という記事ではポーランド人記者アレクサンドラ・リュビンスカが、「寛大さと政治的公正」という美辞麗句の陰で、難民の大量流入がもたらした悲惨な状況が無視されていると論じている。
【参考記事】難民の子供の水死、2カ月で90人
ソーシャルメディアでの批判について、同誌にコメントを求めたが今のところ回答はない。
ポーランド政府は今週、チェコ、ハンガリー、スロバキア政府と協議し、バルカン諸国がギリシャとの国境にフェンスを設置する作業を支援すると発表した。ポーランドなど中部ヨーロッパの4カ国に流入する難民はまださほど多くないが、中東と北アフリカからギリシャ経由でヨーロッパに入る難民の流入が止まらず、ドイツが受け入れを制限した場合、自分たちの国にも難民が殺到すると警戒感を募らせている。