最新記事

日中関係

中国の党と政府のメディアがSMAP解散騒動を報道する理由

2016年1月22日(金)17時12分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 新華網がこのような記事を載せたものだから、他のウェブサイトもつぎつぎに転載し、中国のネット空間は一時炎上した。

「人民日報」の姉妹版「環球時報」のウェブサイト「環球網」

 2016年1月21日11:31、環球網は「大騒ぎした後に、結局解散しない」という見出しで報道している。

「人民網」の姉妹版なので、内容は人民網と同じだ。

中共中央機関紙の一つ「光明日報」のウェブサイト「光明網」

 中国には、中華人民共和国が誕生する前の1949年6月16日に創刊された「光明日報」という新聞がある。現在では中国共産党中央委員会(中共中央)の機関紙の一つで、中宣部(中共中央宣伝部)が管轄している。

 そのような新聞のウェブサイト「光明網」までが、SMAP解散騒動と謝罪に関して「安心して、smapは解散しないよ」という記事を発表。「蘭州晩報(蘭州夕刊)」の転載だ。

 内容はほぼ同じなうえに長いので省くが、瞬間最高視聴率は37.2%を越えたという、日本の情報を報道している。

中央テレビ局CCTVまでが

 中共中央管轄下のウェブサイトがすべて一斉に報道しているので、もちろん同じ管轄下の中央テレビ局CCTVも例外ではない。全国向けの放送の中でSMAP解散劇を扱った。

 直接のURLを示したいのだが、探し出すのが困難だったので、中国のツイッターである「微博(ウェイボー)」の中にある画像をクリックして頂きたい。左上に「CCTV13」という文字があり、真ん中に△が横になった印がある動画があるので、その△をクリックして頂ければCCTV13(新聞チャンネル)を視聴することができる。ベージュ色の服を着た女性が映っている画像だ。

 これにより、中国の党と政府という、国中が国家として報道したということになる。

なぜ、国家が?

 日本人としては、「あの反日歴史闘争で先鋭化している中国がなぜ?」という疑問を持ってしまうだろう。

 しかし、冒頭に紹介した「人民網」の記事を書いた記者の筆名「小新」にもある通り、1980年以降に生まれた中国の若者で、日本のアニメや漫画を見ないで育った者はいないと言っても過言ではないほど、日本の動漫(動画+漫画)に魅せられて育っている。

 日本のサブカルチャーへのあこがれは、動漫に留まらず、映画やテレビドラマ、そして何よりも日本のアイドルへの熱気には尋常でないものがあった。

 中でも「天団」という言葉まで生んでしまった日本の「トップアイドルグループ」SMAPへの人気は飛びぬけていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長

ワールド

ノルウェー中銀、金利据え置き 引き締め長期化の可能

ワールド

トルコCPI、4月は前年比+69.8% 22年以来

ビジネス

ドル/円、一時152.75円 週初から3%超の円高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中