深セン土砂崩れ遠因、党と政府側の責任者は?――浮かび上がった不正の正体
強欲のサイズ これだけの土砂と犠牲の上に利益を得ていた者は Kim Kyung-Hoon-REUTERS
20日に起きた土砂崩れの企業側責任者に関しては昨日のコラムで書いたが、それなら事態発生の遠因に関して責任がある政府側あるいは党側の人物は誰なのか? 浮かび上がったのは江沢民派の元深セン市書記・王栄らだ。
企業側の詳細な動きから見えてくるもの
昨日のコラム「深セン土砂崩れの裏に緑威公司と地方政府の利権構造」で書いたように、土砂を採石場に堆積させてきた企業は「深セン市緑威物業管理有限公司」(以下、緑威公司)で、緑威公司は、その経営権を政府に無断で「深セン市益相龍投資発展有限公司」(以下、益相龍公司)に売り渡していた。
その間の詳細な動きを見ることによって、当時の政府側、特に市のトップである中国共産党委員会書記の誰と関係しており、誰に主たる責任があるのかを分析してみよう。
データは主として、今年12月22日付の中国政府の通信社「新華社」深センのウェブサイト「新華網‐新華視点」に基づく(この記事の内容は、2015年12月23日午前0時22分まではあったなが、23日午前6時41分に再度アクセスしたときには削除されていた!)。
22日0時22分までに得た情報には以下のことが書いてあった。
1.2013年8月7日、緑威公司が土砂処理に関する経営権を深セン政府から落札した。
2.2013年7月23日、緑威公司と益相龍公司は土砂処理経営権に関して水面下で提携し、「合作協議」の文書に署名していた。
3. つまり、形の上では緑威公司が落札しながら、落札前にすでに経営権を益相龍公司に、こっそり譲渡していたことになる。(筆者注:その理由として、一つには経営権を売ることによって緑威公司がさらに利益を得るということと、もう一つには実は緑威公司には土砂などの廃棄物処理業務に関する資格がなく、「物業」という「ビルなどのメンテナンス」に関する営業資格しか持ってないことが考えられる。益相龍公司は廃棄物処理に関する営業資格を持っている。)
4.これは、「益相龍公司は落札結果が出る前から、このプロジェクトは必ず緑威公司が落札するということを知っていた」ことの証拠となり得る。
これこそまさに、中国全土で花盛りである「腐敗の構造」で、どこに落札するかは、政府側あるいは党側責任者のポケットに入る金額で決まっており、ここ深セン市では、必ず緑威公司と最初から決まっているのだ。