習主席、アフリカをつかむ――ジブチの軍事拠点は一帯一路の一環
軍艦が港を離れた直後にイエメンで武力衝突が起き内戦が勃発。間一髪だった。
このとき習主席は中央軍事委員会主席としての力を発揮し、自ら直接指揮を執って緊急行動に出たことは、内外に高く評価されている。
これが可能だったのは、ソマリア沖の海賊対策に対して、中国海軍の護衛部隊が常にアデン湾に待機していたからである。さらには胡錦濤政権時代と異なり、習近平政権においては、中央軍事委員会副主席および中央軍事委員会委員らを、習主席が掌握しているからでもある。2011年に同様のことが起きているが、当時の胡錦濤国家主席は中央軍事委員会の主席でありながら、実権を握っていなかったため、自ら指揮をしていない。胡錦濤が中央軍事委員会で実権を握ったのは、第18回党大会が近づいた2012年後半からで、この時にはすでに江沢民派の徐才厚や郭伯雄ら中央軍事委員会副主席が党大会前に降格させていた。
ところで12月3日にゲレ大統領と会った習主席は、まずは今年3月末から4月初めに起きたイエメンにおける救出劇において、ジブチ共和国が中国を支援してくれたことに関して謝意を述べた。同時に中国軍艦のソマリア沖海賊対策に対するジブチ共和国の日ごろからの支援に対しても感謝の意を表した。
さて、ここからが肝心だ。
習主席はゲレ大統領に、中国が提唱する「一帯一路」の中の、「21世紀の海のシルクロード」に協力を願いたいと申し出た。
そして港湾に「平和安全のための保障施設建設」を約束したのである。
もちろん「10大合作計画」を含む総計600億ドルの投資対象の中にジブチもあり、さらに港湾のインフラ建設も特に重視する。
12月4日、ジブチのユスフ外相は、ストレートに「中国海軍の軍事拠点がジブチに建設される」ことを明らかにしており、イエメン事件があった後の今年5月、ゲレ大統領は軍事基地建設に関して中国と話し合っていることを表明している。
ただし中国は決して「軍事拠点」とは言わずに、あくまでも「平和安全のための保障施設」としか言ってないが、中国海軍の保障施設なので、要は軍事拠点なのである。
ジブチはアデン湾と紅海を結ぶ中継点にあり、隣国にはソマリアやエチオピア、対岸にはイエメンがあるという重要な航路の要所だ。この位置に関しては毎日新聞が提供している地図が分かりやすい。