最新記事

中国

習主席、アフリカをつかむ――ジブチの軍事拠点は一帯一路の一環

2015年12月7日(月)17時08分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 軍艦が港を離れた直後にイエメンで武力衝突が起き内戦が勃発。間一髪だった。

 このとき習主席は中央軍事委員会主席としての力を発揮し、自ら直接指揮を執って緊急行動に出たことは、内外に高く評価されている。

 これが可能だったのは、ソマリア沖の海賊対策に対して、中国海軍の護衛部隊が常にアデン湾に待機していたからである。さらには胡錦濤政権時代と異なり、習近平政権においては、中央軍事委員会副主席および中央軍事委員会委員らを、習主席が掌握しているからでもある。2011年に同様のことが起きているが、当時の胡錦濤国家主席は中央軍事委員会の主席でありながら、実権を握っていなかったため、自ら指揮をしていない。胡錦濤が中央軍事委員会で実権を握ったのは、第18回党大会が近づいた2012年後半からで、この時にはすでに江沢民派の徐才厚や郭伯雄ら中央軍事委員会副主席が党大会前に降格させていた。

 ところで12月3日にゲレ大統領と会った習主席は、まずは今年3月末から4月初めに起きたイエメンにおける救出劇において、ジブチ共和国が中国を支援してくれたことに関して謝意を述べた。同時に中国軍艦のソマリア沖海賊対策に対するジブチ共和国の日ごろからの支援に対しても感謝の意を表した。

 さて、ここからが肝心だ。

 習主席はゲレ大統領に、中国が提唱する「一帯一路」の中の、「21世紀の海のシルクロード」に協力を願いたいと申し出た。

 そして港湾に「平和安全のための保障施設建設」を約束したのである。

 もちろん「10大合作計画」を含む総計600億ドルの投資対象の中にジブチもあり、さらに港湾のインフラ建設も特に重視する。
12月4日、ジブチのユスフ外相は、ストレートに「中国海軍の軍事拠点がジブチに建設される」ことを明らかにしており、イエメン事件があった後の今年5月、ゲレ大統領は軍事基地建設に関して中国と話し合っていることを表明している。

 ただし中国は決して「軍事拠点」とは言わずに、あくまでも「平和安全のための保障施設」としか言ってないが、中国海軍の保障施設なので、要は軍事拠点なのである。

 ジブチはアデン湾と紅海を結ぶ中継点にあり、隣国にはソマリアやエチオピア、対岸にはイエメンがあるという重要な航路の要所だ。この位置に関しては毎日新聞が提供している地図が分かりやすい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本のインフレ率は2%で持続へ、成長リスクは下方に

ビジネス

三菱商事、26年3月期に最大1兆円の自社株買い 年

ワールド

韓国、関税巡り米当局者との協議模索 企業に緊急支援

ビジネス

トランプ関税で実効税率17%に、製造業「広範に混乱
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台になった遺跡で、映画そっくりの「聖杯」が発掘される
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 9
    博士課程の奨学金受給者の約4割が留学生、問題は日…
  • 10
    トランプ政権でついに「内ゲバ」が始まる...シグナル…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 9
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中