空爆だけではISISはつぶせない
イラクとシリアで米軍の作戦を指揮するのが、06年にイラク戦争の流れを変えたショーン・マクファーランド中将だという点は見逃せない。あのときカギとなったのは、アンバル州のスンニ派部族を説得して、アルカイダ内の急進的なスンニ派との協力関係に終止符を打たせ、米軍と共にアルカイダに対抗するよう仕向けたことだ。
マクファーランドは今、同じ作戦を遂行しようとしている。ISISに対抗する同盟相手として手を組もうとしているのは、アルカイダのイラク支部にいたイラク人兵士たちだ。
重要な作戦になるかもしれない。ラマディが要衝だからというだけではない。スンニ派の民兵とシーア派主体のイラク軍が協力して勝利すれば、シーア派が多数を占めるイラクにスンニ派にとってより公正な政治を実現する土台となる可能性がある。これは、イラク全土のスンニ派の保護者を自負するISISをたたきつぶすには必要な条件だ。
地上部隊がISISに勝利する道を切り開けるなら、空軍の存在は重要であり不可欠だ。そしてISISに反対するアラブ人とイスラム教徒がもたらす地上戦での勝利は、この地域からISISを追い出し、他の地域にいる急進的なイスラム教徒がこの組織に魅力を感じないようにするために重要なことだ。
勝利は、有志連合の空軍力なしに達成できない。しかし地元の優れた兵士を結集した地上軍の協力がなければ、空軍力はほとんど役に立たない。
© 2015, Slate
[2015年12月15日号掲載]