【写真特集】美しくも悲しげな国連70周年ライトアップ
世界各国で名所や文化遺産が「国連ブルー」に染まったが、その一方で国連への失望感が広まっている
エジプトでも 国連創設70周年を祝って、ギザのピラミッドとスフィンクスも青色にライトアップされたが(10月24日) Mohamed Abd El Ghany-REUTERS
10月24日、第二次大戦の反省から生まれた国連が、創設70年を迎えた。196カ国が加盟し、各国から集まった約4万人の職員が働く、世界平和と国際協力を目的とした国際機関である。世界各地で名所や文化遺産が、70周年を祝って国連のシンボルカラーである青色にライトアップされたのも、当然のことかもしれない。
しかし、美しいはずのこの「国連ブルー」は、どこか悲しげに見える。スフィンクスや万里の長城、あるいはシドニーのオペラハウスや東京スカイツリーが青に染まったまさにその瞬間にも、戦火と虐殺を逃れて歩き続け、安全を求めて海を渡ろうとしている難民たちがいたのだ。
シリア内戦とヨーロッパへの難民流出問題だけではない。エボラ出血熱の感染拡大で対応が遅れたWHO(世界保健機関)に、世界記憶遺産や世界文化遺産への登録が加盟国間で「歴史戦争」を招いているユネスコ(国連教育科学文化機関)......。今ほど国連とその専門機関に対する失望が広がったことはあっただろうか。
だが、こうした批判が各国で噴出するのは、国連に幻想を抱いているからこそだ。国連はそもそも「万能な世界政府」などではない。
本誌2015年11月3日号(10月27日発売)では、「国連の限界」という特集を組み、存在感を失った国連の現状を分析。その誤解と現実から、あるべき姿に対する提言、日本人の国連愛までを取り上げている。
世界を彩る国連ブルーが、もっと尊敬と感謝で迎えられる日は来るだろうか。