最新記事

米中関係

習近平訪米の狙いは?【習近平 in アメリカ①】

2015年9月24日(木)14時46分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 つまり、潘基文氏は北京の「抗日戦勝70周年記念行事」に参加し、習近平は国連の「70周年記念行事」に参加するという、「相互補助」の組み合わせに最初からなっていたことが、くっきりと見えてくる。

 CCTVは「米中は対立せず、互いの利益を共有すること」、「米中両国軍の交流が盛んであること」および「米中の人的交流がいかに盛んか」などのテーマで多彩な画面と情報を流し続けている。

 互いの利益交流に関しては、王毅外相と同じように貿易額や投資額を列挙し、両軍の交流に関しては、多国間のリムパック(環太平洋合同演習)や米中二国間合同軍事演習などを挙げ、人的交流に関しては米中両国が10年間のマルチビザ滞在を互いに認め、留学生に関しては5年間のマルチビザを認めたことなどを挙げている。

 要は、米中両国がいかに緊密な関係にあり、すでにアメリカ一極の世界ではなく、米中による「新型大国関係」がいかに重要であるかなどを強調した。

習近平政権の過去6回の米中首脳級会談

 特に習近平が国家主席になってから、6回も米中首脳あるいは首脳級会談を行っていることを激しく強調している。中国が報道している内容に沿って以下に書き出してみる。

1)2014年11月11日、中南海で習近平国家主席がオバマ大統領と会談。

2)2014年7月9日、北京で第6回米中戦略・経済対話(オバマ大統領の代理・ケリー国務長官と習近平国家主席および李克強国務院総理の代理・汪洋国務院副総理)

3)2013年12月4日、人民大会堂で習近平国家主席がバイデン副大統領と会談。

4)2013年6月7日、アメリカのカリフォルニア、アネンバーグ邸で習近平国家主席とオバマ大統領が会談。

5)2013年4月24日、北京の人民大会堂で習近平国家主席がキッシンジャー元国務長官と会談。

6)2013年4月13日、人民大会堂で習近平国家主席がケリー国務長官と会談。

 以上6回のうち(2)に関しては、習近平自身は関わってないが、中国としては「こんなにすごいんだよ」ということを言いたいらしい。

中国に不利な問題は避けている

 訪米の狙いとしては、いずれを見ても「ほらね、中国ってすごいでしょ?」とか「米中関係って、こんなに緊密なんだよ」というところを見せながら、「中国はアメリカとほぼ対等のところに行き着いており」かつ「アメリカはこんなに中国を歓迎している」ということばかりが目立つ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EU、米と関税巡り「友好的」な会談 多くの作業必要

ビジネス

NY外為市場=ドル小幅高、米中緊張緩和の兆候で 週

ビジネス

米国株式市場=4日続伸、米中貿易摩擦の緩和期待で 

ビジネス

米中、関税協議巡り主張に食い違い 不確実性高まる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 8
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 9
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中