最新記事

米中関係

習近平訪米の狙いは?【習近平 in アメリカ①】

2015年9月24日(木)14時46分
遠藤 誉(東京福祉大学国際交流センター長)

3)「面向人民(人民と向かい合う)」旅

 今回の訪米は、アメリカの人民と向かい合う旅で、昨年の米中両国の人的往来は430万人を越え、双方の留学生数は50万人を越えている。アメリカに設立された孔子学院は100か所を越え10万人以上の小中学生が中国語を学んでいる。

 そのため習近平国家主席は訪米後すぐにホワイトハウスに行かずにまずはシアトルに行き、ビジネス関係者や友好団体など各界の人たちと歓談をする。

 2022年、中国は世界最大の輸入国となる見込みで、アメリカの対中輸出は5300億ドルを越えるだろう。中米交流基金の計算によれば、2020年の中国の対米投資は2000億ドルに達し、400万社の新しい就業機会を与えるだろう(400万社の新しい企業を中国がアメリカで創り、アメリカ国民を雇用する、という意味)。

4)「開創未来(未来を切り開く)」旅

 国連の安全保障受任理事国として、米中は世界の第一および第二の経済大国となっている。国際社会に今後どのような変化やチャレンジが生じようとも、米中両国は「新型大国関係」を目指して、友好的な二大大国としての道を歩むべきだ。

 以上が、中国政府側見解の主旨である。

加熱するメディア報道

 今年7月7日の盧溝橋事件の日から9月3日の抗日戦争勝利70周年記念日までは、中央テレビ局CCTVで一日も欠かさず抗日戦争のドキュメンタリー番組が特集され、9月3日に近づくと、CCTVは真っ赤に燃え上がった。

 それが過ぎると今度は習近平国家主席の訪米報道に燃え始め、特に国連創設70周年記念に国連で演説するということが大きく取り上げられ、「国連とは」というテーマと、「国連創設に関する中国の貢献」を毎日特集するようになった。

中国って、それは中華民国の蒋介石の貢献ではないか」と心の中でくり返しながら、CCTVの動きを考察した。CCTVを管轄するのは中宣部(中国共産党中央委員会宣伝部)だし、それを司っているのはチャイナ・セブン(中国共産党中央委員会政治局常務委員7名)なので、CCTVが何を言っているかを見れば、中共中央が何を考えているかが見えてくるからである。

 国連創設70周年記念で演説をすることに関して、潘基文(パンギムン)国連事務総長の顔がテレビ画面いっぱいに映し出され、「国連70周年記念における習近平国家主席の出席を大歓迎し、国連での演説を楽しみにしている」と満面の笑顔だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

サハリン2はエネルギー安保上重要、供給確保支障ない

ワールド

シンガポールGDP、第3四半期は前年比5.4%増に

ビジネス

伊藤忠、西松建設の筆頭株主に 株式買い増しで

ビジネス

英消費者信頼感、11月は3カ月ぶり高水準 消費意欲
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 5
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 8
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中