中国にらみスクランブル用戦闘機を配備、フィリピンが元米軍基地を再利用へ
同基地にはFA50の飛行中隊のほか、戦闘航空団も本島北部の基地から移転される。また、スービック湾には海軍のフリゲート艦2隻も配備されるという。
2人はこうした措置の理由として、南シナ海に近いことや同基地を再利用する容易さを挙げた。
同基地は20年以上も基地として機能していなかったため、新軍事協定で米軍が利用できるフィリピン軍の施設8カ所には含まれていない。ただ、バティノ国防次官は米軍が同基地を利用できる可能性を示唆している。
最高裁で審理中の新軍事協定の判断は、数カ月以内に出される見通し。米国防総省は、米軍が利用可能なフィリピン軍施設に関する非公式協議があったとした上で、最高裁の判断が出るまではどのような計画も実行には移されないとしている。
戦略的な岩礁
安全保障の専門家は、スービック湾がスカボロー礁(中国名・黄岩島)からわずか270キロに位置していることに注目している。スカボロー礁をめぐっては、フィリピン海軍と3カ月にわたる対立の末、2012年に中国が実効支配した。
中国が一部に軍事施設も備えた人工島の建設を進める南沙(英語名スプラトリー)諸島は、スカボロー礁の遠く南西に位置する。いずれ中国がスカボロー礁に人工島を建設する日がやって来るかもしれない。
そうなれば、フィリピンが本島沖の排他的経済水域(EEZ)を守るのがますます困難になる恐れがあると、新アメリカ安全保障センターのパトリック・クローニン氏は指摘する。
「新しい韓国製の軽攻撃機なら、たった数分でスカボロー礁に到達できるだろう。海洋哨戒機やドローンも同域での中国の動きを絶え間なく伝えてくれるようになる。フィリピン空軍によるスービック基地の復活は賢明な防衛反応のように思える」
(Manuel Mogato記者、翻訳:伊藤典子、編集:宮井伸明)