イラン核協議、再延長でも見えない出口
イランの核開発の制限をめぐる合意が難航。結論先延ばしで高まる決裂の可能性
危険はすぐそこに 交渉が期限切れになれば、どんな恐ろしいことが起こるかわからない Baris Simsek/Getty Images
イランの核開発をめぐる主要6カ国(アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア、ドイツ)とイランの協議は、交渉期限を迎えた先月24日、来年6月末まで約7カ月の交渉再延長を決めた。各国の関係者はそれぞれ、自分の立場が正当化されたと胸をなで下ろしていることだろう。
当初の期限までに答えが出なかったことは確かだが、イランとの合意を目指すことに賛成する人々に言わせれば、前進したことに変わりはない。延々と続く話し合いでも、戦争よりはましだ。交渉が継続されれば、もどかしいとはいえ、合意の可能性がわずかでも残る。
イランと敵対関係にあるイスラエルのネタニヤフ首相は、「イランが推し進めようとしていた合意は最悪だった」と牽制し、「悪い合意よりは合意がないほうがいい」と交渉延長を支持している。
一方で、アメリカとイランの保守派はそれぞれ、相手は真剣に歩み寄るつもりはないと受け止めるだろう。そして、合意に到達できなかったことについて、交渉の担当者を非難するだろう。実際にはどんな内容だろうと、合意に反対したはずだが。
交渉の隔たりは依然として大きい。ウラン濃縮能力の制限につながる遠心分離機の数や、経済制裁解除の時期や手順、国際原子力機関(IAEA)の査察対象や期間などをめぐり、6カ国とイラン双方の主張は折り合わないままだ。
それでもイスラエルを含めた関係者全員が、昨年11月に「共同行動計画」の合意にこぎ着ける前の状態よりは、むしろ交渉が続いている現状のほうがましだと認めている。12年にイスラエルがイランの核施設を空爆するという脅威が現実味を帯びたときの記憶も、まだそう遠くはない。
イランの核開発計画は、私たちの知り得る限り、制限されたままだ。IAEAが発表した先月の報告書によると、イランは昨年の合意を履行している。
永遠には引き延ばせない
それでも、最終合意に通じる扉が永遠に開いているわけではない。交渉が長引くほど、アメリカとイランでそれぞれ決裂の可能性が高まることになる。
米上院では共和党議員が、交渉期限の再延長が決まる前から、24日に合意できなければ新たな制裁を科すべきだと主張していた。中間選挙で大勝した共和党が議会の主導権を握る年明けから、制裁強化を求める声がさらに高まるだろう。オバマ政権にとって、交渉の具体的な進展を示せないまま、議会の攻撃をかわすのは難しそうだ。