ISIS国家への冷ややかな反応
2014年7月17日(木)15時34分
とはいえ、ノルウェー国防研究機構のトーマス・ヘッグハマーが言うように、建国宣言は世界のアルカイダ系組織に対するアピールというより「聖戦(ジハード)への若者の支持取り付け」が目的だった可能性がある。スンニ派が多いシリアの内戦のおかげで、ISISはこの数年、他のどの過激派よりも多く新兵を集めてきた。さらにイラクでの勢力拡大により、軍事面でも最大級の成功を収めた。
ISISの建国宣言は、地政学的にはさほど大きな分岐点とは言えないかもしれない。ISISがけんかを売った敵(イラク政府にアメリカ、イランなど)の数の多さと力を考えれば、彼らが掌握した領土もいずれは奪還されるだろう。建国宣言はそれ自体よりも、売名としての広報的価値のほうがずっと大きいのかもしれない。
© 2014, Slate
[2014年7月22日号掲載]
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