パブリックビューイングが命がけのイベントに
大勢の人々が集まるW杯観戦会場が爆弾テロの格好の標的に
試合直前の悲劇 首都アブジャのショッピングモールで爆弾テロが発生(6月25日) Afolabi Sotunde-Reuters
4月に270人以上の女子生徒を誘拐したナイジェリアのイスラム過激派組織ボコ・ハラムはこのところ、イラクをはじめとする他の国際ニュースの陰に隠れて一時ほどの注目を集めていない。だが彼らの残忍な行為は止むどころか、むしろ激しさを増している。
6月25日には首都アブジャのショッピングモール付近で大きな爆発があり、少なくとも21人が死亡。犯行声明は出ていないが、ボコ・ハラムの犯行との見方が強い。
爆発が起きたのは、サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会の1次リーグで、ナイジェリア代表チームがアルゼンチンと対決する試合の開始1時間前。事件現場のショッピングモールでは、大型スクリーンで試合のテレビ放映が行われる予定だった(ナイジェリア代表チームはこのゲームに敗れたが、グループ2位で決勝トーナメントに駒を進めた)。
その数日前にもボコ・ハラムは北東部ボルノ州の村を襲撃し、60人以上の少女と少なくとも30人の少年を誘拐している。ボコ・ハラムに殺害された人数は、今年に入ってすでに3000人を超えた。
最近多発しているW杯観戦イベントを狙ったテロのヒントとなったのは、今らかちょうど4年前の事件だ。イスラム武装勢力アルシャバブがウガンダの首都カンパラのレストランなどで連続爆破テロを行い、W杯南アフリカ大会の決勝戦を観戦していた市民ら70人あまりを殺害した。
一部の国では今や、W杯観戦は命がけのイベントとなっている。6月17日にはナイジェリア北東部ヨベ州の野外観戦場に爆発物を積んだ車両が突っ込み、W杯のブラジル対メキシコ戦を観戦していた14人が死亡する自爆テロが発生。ケニアでも先週、インド洋岸の町ムペケトニでW杯観戦中の人など約50人が射殺され、アルシャバブが犯行声明を出している。
レバノンの首都ベイルートの検問所では今週、自爆テロ犯が爆弾を爆発させ、巻き込まれた警官が死亡した。この犯人が検問を通過していたら、200人近い人々がブラジル対カメルーン戦を観戦していた近隣のカフェがテロ現場になっていたかもしれない。
当然のことながら、ケニアやナイジェリアの政府は国民に対し、公共の場ではなく自宅でW杯を観戦するよう警告している。