互いに相手を利用する日朝の外交ゲーム
日帝とその記憶は、韓国との関係を考えても多くの利点がある。まず、米韓関係を日帝時代から続く外国による支配の延長と位置付け、韓国政府の正統性に疑問を投げ掛けることができる(北朝鮮は自分たちこそ朝鮮半島全体の正統政府だと主張している)。
同時に日帝支配に対する根深い怒りを強調して、韓国側と共通の基盤に立つという手も使える。北朝鮮専門の情報サイト、NKニュースはこう指摘する。「ことによると反日は、南北朝鮮が団結できる数少ないテーマの1つかもしれない」
日韓併合100年に当たる10年、日本政府が過去の植民地支配を韓国に謝罪すると、国営朝鮮中央通信はすかさず日帝支配の悪辣さをあげつらい、謝罪が不十分だと主張した。「日本帝国主義は歴史上最も苛烈な植民地支配を朝鮮に押し付け、言語に絶する不幸と苦難、災厄を朝鮮人民にもたらした。日本は朝鮮人民に侵略行為と人道に対する犯罪を誠実に謝罪し、完全な賠償を行うべきである」
いずれにせよ北朝鮮も日本も、もっぱら第三者へのアピールやポーズのためにお互いを利用している。両者の国益にとって、この種の駆け引きは外交関係を結ぶことよりも重要らしい。
From GlobalPost.com特約
[2014年6月10日号掲載]