環境破壊に突き進むオーストラリア
観光こそ持続可能な産業
EU(欧州連合)とアメリカは、今年11月にブリスベーンで開かれるG20首脳会議で気候変動を取り上げるよう求めているが、オーストラリア政府は抵抗している。
アボット政権に環境政策の路線変更を強いるには、国際的な舞台で恥をかかせるしかないのかもしれない。「観光はオーストラリアの一大産業だ。ひどい偽善が横行しているオーストラリアには行きたくないと、世界中の観光客が叫んでくれたらいいと思う」と、ローランスは言う。「金絡みの話ならアボット政権を説得できるだろう。環境絡みの話には、彼らはまったく興味を示さないが」
この6月、ユネスコの世界遺産委員会はグレートバリアリーフを「危機遺産」に指定するかどうかを判断する予定だ。
「グレートバリアリーフを巨大なヘドロのサンゴ礁にしてはいけない」とフルトンは言う。「観光業は外貨を稼ぐ巨大産業だ。資源バブルがはじけ、いくら地面を掘っても金を稼げなくなったとき、観光による収入はとても重要になる」
ある調査によれば、グレートバリアリーフは今でも毎年およそ57億㌦を稼ぎ出し、6万9000人分の雇用を支えている。その大半は、もちろん観光関連の雇用だ。
フルトンは言う。「しょせん石炭や石油、ガスは有限の資源であり、いつかは尽きる。私たちの代のうちに枯渇するかもしれない。でも私たちがサンゴ礁を守り、観光や漁業、その他で稼げるようにしていけば、そのシステムは持続可能だ」
From GlobalPost.com特約
[2014年4月29日号掲載]