米軍公認部隊にはびこるレイプ魔
とんでもない「置き土産」
多くの民兵組織は富や影響力、縄張りをめぐって争っている。このまま米軍が撤退したらどうなるのかと、村人たちは恐れている。民兵組織同士の争いが破滅的な内戦に拡大すれば、この国は再び90年代前半のような無政府状態に陥りかねない。
「ALPや民兵が、13年もの長い占領の末にアメリカが残していく置き土産なのか」と、グルの親族は嘆く。
北部のマザリシャリフに駐在する国連職員の1人は、バイを「手の付けられない乱暴者」と呼ぶ。「タリバンと戦っているという看板だけで、政府も多国籍軍も彼を野放しにしている。本当のあいつは、少女の純潔を奪ったことを吹聴して歩く度し難い男なのに」
この国連職員によれば、ALPや民兵は男子までも性的虐待の標的にするという。5月上旬にも、羊の世話をしていた2人の少年が民兵組織から性的暴行を受ける事件があった。だが誰一人として逮捕も訴追もされていない。
実際に性犯罪やその他の犯罪で逮捕されたとしても、当局とコネがあるALP要員や民兵たちは罰を免れる。クンドゥズ州の軍事裁判所の関係者によれば、同州では昨年2人のALP要員が18歳の少女のレイプ容疑で逮捕されている。
「この件は法廷に持ち込まれたが」と、彼は言う。「被害者側への圧力があって、審理が進む気配はない」
この無念の矛先はいずれアメリカに向かうだろう。
[2013年6月 4日号掲載]