ロシアのバレエ界のプリンスとして名をはせ、芸術監督としても評価されていたフィーリンが襲撃されたことに友人や同僚は動揺している。やはりロシアを代表するマリインスキー・バレエ団の主力ダンサー、アレクサンデル・セルゲイエフは、フィーリンを「信念を曲げない人」と評し、事件の衝撃をこう語った。「バレエは危険な活動になってしまった」
襲撃の直前、フィーリンは『ラ・バヤデール』の稽古をしていた。伝統あるバレエ団は動きを止めない機械のようなもの。悲劇の後も公演は予定どおり行われている。
陰謀の舞台は、これを最後に幕が閉じられるのか──。
[2013年2月 5日号掲載]