中国に現る!最強の恐竜ハンター
古大陸の謎を解くカギ
化石の採掘場は龍骨澗(竜の骨の村)という村の郊外にある。この周辺では何百年も前から化石が見つかっていた。
この採掘場は規模が大きいだけでなく、埋まっている骨の量も多い。「なぜ(恐竜の)化石がこれほど多く集まっているのか、私には見当もつかない」と、ドッドソンは言う。
その理由はまだ謎のままだ。徐は地滑りが恐竜たちを押しつぶし、骨を散乱させたとみている。ホーンは恐竜の死後、大規模な洪水か泥流によって骨がここに運ばれたと考えている。
諸城市の主発掘溝には、ハドロサウルスの化石が大量にあった。だが研究者を興奮させているのは、採掘場全体にまばらに埋まっているチューチョンティラヌス・マグヌスの骨だ。
完全な骨格はまだ未発見だが、最も重要な上あごの骨は見つかっている。「ティラノサウルス類は上あごの骨に明確な特徴がある。この化石は(北米の)ティラノサウルス・レックスに極めて近い」と、ホーンは言う。
大型の角竜シノケラトプスもアジアで初めて見つかった。北米で発見された恐竜の多くがアジアでも見つかっていることから、両者は白亜紀後期には陸続きだったと考えられているが、アジアで大型角竜の化石が発見されないことがこの説の弱点になっていた。だが、シノケラトプスの発見で問題は解決されたと、徐は言う。
この発見は、今後さらに多くの恐竜が見つかる可能性が高いことを示している。「極めてよく似た種が両大陸にいる。その1つが見つかったのだから、ほかの種も見つかるはずだ」と、ホーンは言う。
諸城市の発掘溝を歩く徐は、これからも多くの発見が続くと確信している。まだ名前が付いていない恐竜の化石の前で足を止めた。岩の中から骨格が突き出ている。「こいつはとても奇妙な恐竜だ」と、彼はうれしそうに言う。「科学者はいつだってとんでもなく奇妙な恐竜を見つけたくてたまらないんだ」
[2011年9月 7日号掲載]