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財政借金を制する者が新世界を制す
国際社会の新たな課題は巨額債務との戦い。債務を管理する能力が一国の経済力を左右する時代の到来だ
薄闇の中で 先進国を待つのは痛みを伴う財政再建プロセスだ(年金制度改革に抗議するパリ市民) Jean Marmeisse-Gamma/Getty Images
忙しい世界の指導者たちは演劇を観賞する暇などないかもしれない。とはいっても、ニューヨークのブロードウェイで上演されている、名優アル・パチーノ主演のシェークスピア劇『ベニスの商人』を見逃すのはあまりに残念だ。
注目すべき借金絡みのドラマはこれだけではない。「世界は舞台だ」と、シェークスピアは戯曲『お気に召すまま』に書いた。2011年、その言葉どおり世界経済は総額82兆ドルに上る各国の借金をめぐる衝突と挑戦、勝利と危機のドラマの舞台になりそうだ。
これまで国力を決める最大の要素は石油など極めて重要な資源の支配権や軍事力、ハイパー資本主義を受け入れる能力だった。だが11年以降は、債務を管理する能力こそが経済力を測る最大の指標になるだろう。
ジョージ・W・ブッシュがアメリカ大統領だった頃、米政権が掲げた「自由のための行動計画」は、途上国を一党支配体制から解放し、民主的な選挙を実現することに焦点を当てていた。それが今や最大の課題は先進国を巨額の借金から解放し、財政バランスを回復することだ。
11年を改善の年として終えられそうな国はどこか。激痛を伴う債務返済を見事に達成できる国、低金利を財政再建に利用できる国、金融緩和という餌に釣られて新たな危機にはまり込まない国だ。...本文続く
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[2010年12月29日号掲載]