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安全保障テロの潜在拠点アフリカに米基地がない訳
アフリカがイスラム過激派の次なる拠点になるかもしれないと多くの専門家が懸念している。政情不安や貧困、人口過密、宗教過激派の多さなどテロリストを「養成」する条件がそろっているからだ。
こうした事情を背景に、米国防総省は07年、アフリカで活動する米軍を統括する米アフリカ軍(AFRICOM)を創設。しかし同軍の将校はいまだに司令部のあるドイツのシュツットガルトに駐在している。
問題はアフリカ諸国が米アフリカ軍を歓迎していないことだ。ボツワナとリベリアが基地の候補に上がっていたが、地元の反発で断念。同軍高官によれば、他の国々から「申し出」があるものの、総じて「大規模な米軍基地を受け入れることを望んでいない」という。
大半のアフリカ諸国は独立してまだ半世紀。各国政府は米軍基地の出現によって新たな植民地時代が到来したり、イラクのように占領されたりすることを心配して国民が動揺することを恐れている。米アフリカ軍の司令官によると、基地の受け入れ国探しは正式に「棚上げ」になった。
とはいえサハラ砂漠以南や「アフリカの角」と呼ばれる東部の地域では対テロ作戦が増えている。今後ドイツの司令部は厄介な状況に陥るだろう。ある高官は駐留の希望を捨てていないと語ったが、
実現は遠い先の話かもしれない。
[2009年11月18日号掲載]