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アフリカオバマの努力が中国を利する
7月に訪問先のガーナでアフリカにおける「良い統治」を支援すると語ったオバマ米大統領が、その約束を行動に移している。具体的にはアフリカに進出している米企業の腐敗取り締まりの強化だ。
アメリカでは77年に腐敗慣行防止法が成立。以後、同法に基づき国外で不正行為や贈収賄に関与した米企業が取り締まられてきた。とはいえ力の入れ方は歴代政権ごとにまちまちで、相手がアフリカの場合はなおさらだった。
オバマ政権の場合、司法省だけで87人の弁護士を新たに雇用するなど、多くの法律家を政府機関に雇い入れて規制強化に取り組んできた。8月にはウィリアム・ジェファーソン前下院議員を、ナイジェリアでの商取引に関連して腐敗慣行防止法違反で立件した。
こうした動きに、汚職撲滅を目指すアフリカの運動家たちは大喜びしている。だが期待のし過ぎは禁物だ。アメリカ以外の多くの国は、今も自国企業の活動を野放しにしている。アフリカ最大の貿易相手国となった中国が、汚職にひどく甘いのは有名だ。
オバマの行動は立派だが、アフリカにとっては別の相手と手を組めば済む話かもしれない。
[2009年10月21日号掲載]