最新記事

睡眠

女性は男性の2倍「睡眠不足」になりやすい...ただし男性よりもうまく対処できる!?最新研究で見えた「驚きの結果」とは?

SEX DIFFERENCES IN SLEEP

2024年09月18日(水)15時53分
ジェス・トムソン(科学担当)
ベッドにいる男女

睡眠不足からの回復力にも女性ホルモンが関係している可能性が PHOTODJO/ISTOCK

<最新研究で女性ホルモンが睡眠に及ぼす影響が明らかになった──>

夜更かしした翌日は一日中あくびばかりで頭がぼうっとしがち。こうした睡眠不足には、女性のほうが男性よりうまく対処できる可能性がある。

ホルモンの影響で、メスのマウスはオスより睡眠不足から回復しやすいらしい──そんな研究論文2本が2023年11月の米神経科学学会の年次総会で発表された。


1つ目の研究では、ホルモンの変化がメスの回復力に影響していることが判明。もう1つの研究では、睡眠に対するエストロゲン(女性ホルモン)の影響を脳内細胞アストロサイトが調整することが明らかになった。

以前から女性ホルモンは睡眠と睡眠不足に影響していると考えられてきた。女性は男性の2倍睡眠不足になりやすく、思春期や初潮、更年期の前後は特にその傾向が強い。

「アメリカで不眠に悩む人の割合は全体では約15%だが、閉経前後や更年期の女性では推定35~50%に上る」と、アストロサイトに関する研究論文の共著者である米メリーランド大学医学大学院のジェシカ・モング教授(神経薬理学)は本誌に語った。

モングらは睡眠の調節に関係する視索前野にあるアストロサイトの働きについて新たな知見を得た。

「アストロサイトはグリア細胞(膠〔こう〕細胞)の一種。グリアはグルー(糊)に由来し、その名のとおりニューロン同士の隙間を埋めているだけだと考えられていたが、実はそうではないことが過去30年の研究で明らかになってきた。アストロサイトの睡眠を調整する働きが分かったのは比較的最近で、エストロゲンの作用に影響するというのは全くの新発見だ」とモングは言う。

モングらはマウスのアストロサイトを抑制すると、睡眠に対するエストロゲンの影響が妨げられることを突き止めた。「この結果は(エストロゲンが)アストロサイトを刺激もしくは活性化し、アストロサイトが(視索前野の)睡眠を制御するニューロンにシグナルを送る可能性を示唆している」

的を絞った対策が可能に

「これは大発見で、(エストロゲンが)睡眠を制御する仕組みをいち早く証明し、今後、女性向け睡眠薬・睡眠補助サプリ開発のターゲットを提供する可能性がある。睡眠回路におけるエストロゲンの作用が分かれば、さまざまな睡眠障害にエストロゲンがどんな役割を果たしているかを理解し、更年期女性の不眠に対するより良い介入を行う上で非常に重要な第一歩になる」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザでの戦争犯罪

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、予

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 3

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 4

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が妊娠発表後、初めて公の場…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 3

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 4

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…

  • 4

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 5

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること