最新記事

中国

精肉店の店先で独学でバレエを踊り続けた少女はいまやスターに

2022年06月09日(木)17時10分
佐藤太郎

Photo via Weibo

<貧しい家庭で育った少女は早朝、学校に行く前と下校後に、母親の営む精肉店で手伝いとと宿題をする合間に、狭い店内でダンスの練習をし続けた>

中国のSNSで、精肉店の店先で見事なバレエを踊る少女の動画が2億3000万回以上再生され、話題になっている。

ネット上で「Yun'er」という名で知られるウー・ガンギュンさんは、中国南西部の雲南省の出身。7歳のときにダンスに夢中になり、以来、母親の携帯からネットの動画を見て独学で学んだという。

彼女の才能に気づいたのは幼稚園の先生だったと、母親は言う。「(幼稚園の)先生に、誰がこんなことを教えたのかと聞かれたので、娘が私の携帯で動画を見ただけですよ」と返すと、ウーさんに正式なダンスのレッスンを受けるよう助言を受けた。

220609-nww-chinagirl-002.jpg

Photo via bilibili 

娘の可能性を信じた母

ウーさんが8歳のとき、母は1学期あたり300ドル(約4万円)かかるバレエ教室に登録した。ただ、最初の学期が終わると、高額なレッスン代を支払い続けることは難しくなった。

当時、父親はトラック運転手として働き、もう1人娘がいる家族4人で1ヶ月あたり150ドル(約2万円)で暮らしていた一家にこのレッスン代は高すぎる。ウーさんは諦めるほかなかった。

それでもバレエへの情熱は冷めなかった。正式なレッスンに通えなくなった後も、来る日来る日もネットの動画でダンスを学び続けた。

220609-nww-chinagirl-001.jpg

Photo via Weibo 

母親は数年前、家計を支えるために精肉店をオープンさせた。

ウーさんは早朝、学校に行く前と下校後に、店を手伝うことになった。母親の手伝いと宿題の合間に、狭い店内でダンスの練習をするのが日課になった。

そんな娘のひたむきな姿を見た母親は、店内でダンスの練習に励むウーさんの動画をインターネットで公開し始めた。

2018年になると、精肉店の事業は軌道に乗り、一家の経済状況も少し改善された。母親は娘に改めてダンスの勉強をしてほしいと思い、地元のスクールの門を叩いた。

だが期待とは裏腹に返ってきたのは冷たい反応だった。どの指導者も一家の経済力を懸念し、レッスンを引き受けようとしなかった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、日本人の短期ビザ免除を再開 林官房長官「交流

ビジネス

独GDP改定値、第3四半期は前期比+0.1% 速報

ビジネス

独総合PMI、11月は2月以来の低水準 サービスが

ビジネス

仏総合PMI、11月は44.8に低下 新規受注が大
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    【ヨルダン王室】世界がうっとり、ラジワ皇太子妃の…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 5

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 3

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 4

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…

  • 4

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 5

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること