SNS映えが人気の秘訣? 欧米でブラックフードにラブコール
黒い食べ物がSNS映えすることも関係している。
「日本では黒い食材はお馴染みだと思います。でも黒いハンバーガーや黒いアイスクリームは、日本でさえ珍しかったのではないでしょうか。西洋でも一部の地域では黒い食べ物は普通のことですが、多くの人はほとんど見慣れていませんでした。黒尽くしの料理やお菓子は視覚的に強烈で刺激的に感じられ、好奇心をそそられる人がたくさん現れたのでしょう」(ボロスさん)
スーパーフード、黒にんにくの消費が増加
活性炭が健康増進に役立つとされる点も、黒い飲食品の人気を支えている。健康によいということで、日本や韓国、中国で食べられている黒にんにくへの注目も高まっている。スイスに本社を置く世界的な食品ブランドのネスレも、昨年から、業務用の黒にんにくペーストを発売するなど、欧米でも黒にんにくが手軽に買えるようになりつつある。
アイルランドでは、同国放送協会(RTÉ)が2020年の食のトレンドとして黒にんにくを挙げたり、フランスでは、黒にんにくを新しい料理界のダイヤモンドと称えたりしている。
市場調査を行うテクナビオは、2020~24年の世界のにんにく市場動向を分析している。黒にんにくの需要はとくに北米とヨーロッパで高まっていて、にんにく全体として今後5年間で最高5900億円以上の利益が見込めるという。
黒にんにくが欧米でこれほど珍重されるようになるとは想像しなかった。
SNS映えの影響があるにしても、ここまで欧米で黒い食べ物がヒットするのはなぜだろう。個人的な意見だが、つまるところ「海苔やひじきなど様々な黒い食材を抵抗感なく味わい、黒い食器を美しいと感じる日本人」に触発されたのではないか。
以前は、寿司を食べると言えば黒い紙を食べるんだよね?と聞かれ、ひじきや海藻サラダを食べると言えばなぜ黒い奇妙な物を?と驚かれたものだった。いまや和食が世界に浸透して日本の食文化は高く評価され、欧米人も黒を受け入れ始めたということだろう。
黒い飲食品は単なるトレンドでは終わらず、益々消費が増えていくのかもしれない。
[執筆者]
岩澤里美
スイス在住ジャーナリスト。上智大学で修士号取得(教育学)後、教育・心理系雑誌の編集に携わる。イギリスの大学院博士課程留学を経て2001年よりチューリヒ(ドイツ語圏)へ。共同通信の通信員として従事したのち、フリーランスで執筆を開始。スイスを中心にヨーロッパ各地での取材も続けている。得意分野は社会現象、ユニークな新ビジネス、文化で、執筆多数。数々のニュース系サイトほか、JAL国際線ファーストクラス機内誌『AGORA』、季刊『環境ビジネス』など雑誌にも寄稿。東京都認定のNPO 法人「在外ジャーナリスト協会(Global Press)」監事として、世界に住む日本人フリーランスジャーナリスト・ライターを支援している。www.satomi-iwasawa.com
【話題の記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・韓国、新型コロナ第2波突入 大規模クラスターの元凶「サラン第一教会」とは何者か
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる
2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他