多くの独身者が味わう「スキンシップ欠乏症」 コロナ時代の正しいセックスとは?
Make It ‘A Little Kinky’
「(DOHMHの)指針は非常に賢明で許容度が広い」と、心理療法士でセックスカウンセラーのイアン・カーナーはみる。「完全に安全なセックスは存在しなくても、より安全なセックスは存在する」
マスク着用での性交渉は必ずしもぶざまなものではなく、 互いにその気さえあれば楽しめるとカーナーは言う。「あるクライアントはオープンな関係を結ぶパートナーと最近、窓を開けた車内でマスクを着けてセックスをした。とてもエロチックで興奮できると同時に、安全な性行為だ」
性交渉を通じた新型コロナウイルスの感染例はこれまで報告されていない。「新型コロナウイルスとセックスの関係には未知の点が多い」と、DOHMHは説く。「膣性交や肛門性交で感染するかは不明だ。ほかのコロナウイルスの場合、性行為では簡単に感染しないと分かっている」
ただし、口で肛門に接触するのは危険だという。一部の研究では、新型コロナウイルスは糞便中にも排出されることが確認されている。
DOHMHの新指針をめぐって、ネット上には疑問や困惑の声が上がった。とはいえ多くの人は、そもそもガイドライン改定の必要があったのかと感じている。「パンデミック中に知らない相手とセックスしたがる人なんている?」と、あるツイッターユーザーは投稿した。だが人によっては、好きな習慣を変えることに抵抗を感じるものだ。
「個人的には、セックスのときはキスに快感を覚える」。客船のエンターテイナーで、6月上旬までフロリダ州沖に停泊するクルーズ船内で隔離生活を送っていたデービッド・コモー(32)はそう話す。
陸地に戻った今、デートをする気はあるが、感染リスクやセックスガイドラインのことを考えると行動に移せない。「感染者がゼロになるか、ワクチンが開発されるまで、知らない相手とはセックスをしないだろう」
2020年8月4日号(7月28日発売)は「ルポ新宿歌舞伎町 『夜の街』のリアル」特集。コロナでやり玉に挙がるホストクラブは本当に「けしからん」存在なのか――(ルポ執筆:石戸 諭) PLUS 押谷教授独占インタビュー「全国民PCRが感染の制御に役立たない理由」