最新記事

ライフスタイル

多くの独身者が味わう「スキンシップ欠乏症」 コロナ時代の正しいセックスとは?

Make It ‘A Little Kinky’

2020年07月28日(火)16時05分
アヌシュリー・デベイ(ジャーナリスト)

コロナ禍でも出会いや性交渉を求める気持ちは変わらないが… Elisaveta Ivanova-iStock

<マスク着用、キスなし、少し「変態」になる──感染リスクを減らす手引の有効性と現実味>

デートアプリをダウンロードして出会いを探そう──6月半ばにニューヨーク州ロングアイランドからマンハッタンに引っ越してきたとき、イザベラ・フロレス(21)はそう考えていた。だが結局やめることにしたのは、ニューヨーク市保健精神衛生局(DOHMH)が6月8日に発表したセックスガイドライン最新版を読んだせいだ。

ガイドラインは「鼻と口を覆うマスク」を着け、「キスなしで」と勧告する。「顔も見えず、キスもできない相手と付き合うのは無理」と、フロレスは言う。「こんな指針に従う人がいるはずがない」

DOHMHが最初にガイドラインを発表したのは、同市で新型コロナウイルス感染者が増え始めた3月前半だ。

当初は、新規の相手との性交渉を戒め、最も安全な選択肢としてマスターべーションを推奨していた。セックス自体はNGではないが、していいのは一緒に暮らしている相手だけ。「対面でのデートは一時中断し、オンラインデートや(ネットを介して性的なメッセージや動画などを送る)セクスティングの活用を検討する」よう提案した。

パンデミック(世界的大流行)のなか、カジュアルセックスに待ったをかけたのは首都ワシントンやロサンゼルス、サンフランシスコなども同様だ。オランダでは当局が特定のパートナーがいない人に「セックスフレンド」を見つけるよう勧めつつ、「無差別的な性的接触」は推奨しないとクギを刺し、カナダ産婦人科学会は同居相手以外とセックスをするなら「せめて往来を最小限に」と助言した。

DOHMHが指針を緩和したのは、シングルの人々もセックスを諦めはしないという現実を受け入れた結果であるようだ。最新版では、同居相手以外との性交渉を望む人向けに「社会的距離」ルールを取り入れている。

「鼻と口を覆うマスクの着用は性行為中の感染対策を強化する上で効果的だ」。防護壁を設けて直接的な接触を避け、「少し倒錯した」セックスを楽しむこともDOHMHは提案している。

「アドバイスはどれも新規の相手とのセックスや、出会いを探していたり、自宅に誰かを招いたりした場合を想定している」と、バンダービルト大学医療センターのウィリアム・シャフナー教授(予防医学・感染症学)は指摘する。

安全重視でも情熱的に

最新版の方針は、禁欲主義に基づく公衆衛生政策を疑問視する動きに沿っている。2007年に発表された研究では、禁欲を説くだけでは命をリスクにさらす問題の情報が与えられないままになる一方、包括的な性教育プログラムはリスクの高い性的行為を減らすと判明している。

ハグや握手もできない状況が数カ月間続くなか、多くの独身者が味わう「スキンシップ欠乏症」を解消する上でも新たな指針は役立つ。カーネギー・メロン大学が14年に行った研究によれば、身近な人との身体的接触はストレスを軽減させる。ハグや頻繁な身体的接触には、女性の血圧や心拍数を下げる効果があるとの研究結果もある。

パンデミックのさなかでも創造力次第で、情熱的かつ健全な性生活を送ることは可能だと指摘する声も専門家の間では上がる。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 2

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 5

    24歳年上の富豪と結婚してメラニアが得たものと失っ…

  • 1

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 2

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

  • 3

    キャサリン妃が「涙ぐむ姿」が話題に...今年初めて「…

  • 4

    アジア系男性は「恋愛の序列の最下層」──リアルもオ…

  • 5

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 1

    「家族は見た目も、心も冷たい」と語る、ヘンリー王…

  • 2

    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…

  • 3

    カミラ王妃はなぜ、いきなり泣き出したのか?...「笑…

  • 4

    キャサリン妃が「大胆な質問」に爆笑する姿が話題に.…

  • 5

    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:超解説 トランプ2.0

特集:超解説 トランプ2.0

2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること