一泊2000ドルも。危機でも成長する高級ホテルの未来型「おもてなし」モデル
One Hotel’s “Quarantine Package”
外出できない客のために医療サービスも利用できる優雅なプライベート空間を提供 LE BIJOU
<コロナ危機で予約が激減したスイスの高級ホテルが至れり尽くせりの自主隔離パッケージで話題に>
コロナ危機で旅行者が激減し、休業に追い込まれるホテルが相次ぐなか、ユニークな危機対応型サービスを打ち出した高級ホテルがある。スイスのチューリヒを拠点に長期滞在者向け宿泊施設を展開する「ル ビジュー」だ。
同社が新たに打ち出した宿泊プランはその名もずばり「COVID-19サービス」。料金は中規模サイズのアパートメントが1泊500ドル、より広いぺントハウスが800〜2000ドルで、オプションで買い物やケータリングなどのほか、医療サービスも利用できる。
居室で受けられるウイルス検査が500ドル、日に2回の看護師の訪問ケアが1日につき1800ドル、週7日24時間体制の医療サービスが1日につき4800ドルだ。
スレート誌のクリスティーナ・コーテルッチが同社のアレクサンダー・ヒュブナーCEOに話を聞いた。
――どんなパッケージか。
顧客の希望に応じてサービスを追加していく方式だ。基本的には14日間の滞在プランで、オプションで買い物や、看護師か医師による1日2回の体調チェックなどの医療サービスを受けられる。症状が表れたらウイルス検査も受けられるし、週7日24時間の医療モニタリングやパパーソナルシェフなど、希望があれば何でも応じるつもりだ。
――利用客はどんな人?
今のところ(高齢者や持病があるなど重症化の)リスクが高い人や、(仕事柄感染リスクがある)家族と一時的に別居したい人が多い。サービス付きのアパートメントはこうした人にはぴったりだ。
――このパッケージを思い付いたきっかけは?
中国で起きたことを見ていれば、都市封鎖で旅行者が激減するのは予想できた。(スイス中部の)ルツェルンにあるわが社の施設はアジア系の旅行者に人気があるが、ここは特に予約がガクンと減った。
一方で14日間の自主隔離に使いたいという問い合わせも既に来ていた。ニューヨークから帰ってきて、(万が一感染していた場合)家族にうつしたくないからと2週間泊まった客もいた。
そういうニーズがあるなら、対応しようと思った。