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コロナ禍の今こそ「本質を見抜く力」を子どもに 思考力を高めるオープンエンドの質問が効果的

2020年03月17日(火)12時35分
船津徹

クリティカル・シンキングは「問い」で鍛える

クリティカル・シンキングは1980年代以降、アメリカの教育改革の柱としてその重要性が強調されるようになりました。テストのための知識の詰め込みだけでは社会で要求される実践的な力は身につかない。そのような社会的潮流から学校教育の重点が「記憶」から「考える力」へシフトしていきました。

以降、アメリカの授業は、先生が一方的に講義するスタイルでなく、生徒たちに考えさせ、意見を発表させるアクティブラーニングが主流となりました。生徒たちの意見を発表させた上で、先生は、「それは事実か?意見か?」「その根拠は?」「その情報の発信者は誰か?」「なぜそう思うのか?」「偏っていないか?」「他の考えはないか?」と次々に問いかけます。「問い」を重ねることで、生徒は自分の思考の偏りや思い込みに気づき、普段は無意識に行なっている思考プロセスを、立ち止まって検証する習慣を身につけることができるのです。

家庭でできるクリティカル・シンキングの育て方は「問い」を増やすことです。親が子どもに質問することで、子どもは自分の考えを言語化し、自分の思考の根拠について検証していく思考法を身につけることができます。

「どうしたら新型コロナウィルスから身を守れると思う?」と問いかければ、子どもは「手を洗う」「うがいをする」「マスクをする」と直感で答えます。これに対して「何で手を洗うと感染しないの?」「何でマスクをすると感染しないの?」と、さらに「問い」を重ねるのです。

語彙力や表現力が十分に発達していない小学低学年頃までの子どもにとって、自分の考えを明晰に言語化するのは難しいことです。ですから親は、子どもの話の腰を折ったり、言葉を補ったり、否定や批判をせず、子どもの話を最後までしっかり聞いてあげましょう。

「手についているばい菌を石けんで洗えば、ウィルスに感染しないからだよ」と子どもが答えたら「本当に石けんで洗えば感染しないの?」「どれだけ丁寧に洗えばウィルスを洗い落とせるの?」「誰がそう言ったの?」と、問いを重ねてください。すると子どもは「本当なのかな?」と、自分の思考の思い込みについて検証できるようになります。

YES・NOで答えられない質問を心がける

「YES・NO」で答えられる問題をクローズドエンド、「YES・NO」で答えられない問題をオープンエンドと呼びます。クリティカル・シンキングを鍛えるにはオープンエンドの質問が効果的です。

「今日学校楽しかった?」という質問は「YES・NO」で答えられるのでクローズドエンドです。会話が「うん」「べつに」「普通」で終わってしまいます。

「今日先生の話の中で一番面白かったことを教えてもらえる?」「休み時間の一番楽しい過ごし方を教えてくれる?」「今日一番笑った話を教えてもらえる?」「クラスで一番面白い子について教えてくれる?」という質問であれば、子どもは記憶を呼び起こし、それを言語化して説明しなければなりません。つまり「思考」が要求されるのです。

「学校・公園・家庭でたくさんの人が触るモノは何だろう?」「どんな場所が感染しやすいだろう?」「どんな遊びが感染しやすいだろう?」というオープンエンドの問いを増やすことで、身の回りに潜んでいる新型コロナウィルスへのリスクを子どもが理解し、主体的に予防策を実行できるようになります。

他にも「ドアやスイッチを手で触らないで操作する方法は?」「咳やくしゃみを相手にはきかけない方法は?」「握手やハグしないで挨拶する方法は?」「友だちと離れて遊ぶ方法は?」「マスクの買い占めを防ぐ方法は?」「学校に行かなくても勉強できる方法は?」など、答えのない質問を多くすると、親子の会話が弾むようになり、ディスカッションを楽しみながら思考を深めていく訓練を家庭で実践できます。

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