女子サッカーで世界初、生理周期に合わせてトレーニング
選手は自分の体調の変化をアプリに入力する。その情報を活用し、トレーニングや食事の内容を選手の体調に合わせてテイラーメードにするのが、このアプリの狙いだ。こうすることで、1カ月の間に上下する体重やエネルギーのレベルをコントロールしたり、けがのリスクを減らしたりすることができる。
ブランベルズ博士は2週間に1度チェルシーを訪れ、スタッフや選手たちにアプリの使い方や、パフォーマンスを最大限に生かすためにいかにしてトレーニングに活用できるかを指導しているという。
米国代表チームが先駆け、他チームも導入の動き
ヘイズ監督は英テレグラフ紙に対し、女子サッカー選手は長い間、男子サッカー選手と身体的に同じように扱われてきたと指摘。しかし女子選手の場合、生理がパフォーマンスに与える影響を考慮する必要があるため、生理についてもっと理解し、いかにしてパフォーマンスを向上できるかを考えなくてはいけない、と説明している。
実は、女子サッカー選手のパフォーマンス向上に生理周期を活用するという方法は、米国代表チームが昨年のワールドカップ(W杯)ですでに取り入れていた。米国はこの大会で優勝したが、その少し前から選手の生理周期を記録し、それに合わせたトレーニングをしていたのだという。
米国代表チームのドーン・スコット監督が昨年7月、米ABC放送の情報番組「グッドモーニング・アメリカ」(GMA)に説明したところによると、このときもブランベルズ博士が協力。代表チームがフランスで一緒に過ごす50日間、誰がどのフェーズにいるかが分かるようにし、監督はそれに合わせてアドバイスをしたという。GMAは、こうしたことが行われたのは女子サッカーW杯史上で初めてだとしている。
チェルシーはこれを一歩先に進めて、大会前だけでなく、毎日のトレーニングに取り入れたことになる。現在のところ、こうしたことを行っているサッカー・チームはチェルシーだけだが、UEFA(欧州サッカー連盟)女子チャンピオンズ・リーグの覇者リヨンも似たようなプログラムを導入する予定だと見られている。
チェルシーのヘイズ監督は、今の現役選手たちが、自分の生理に関する知識をパフォーマンスに活用できる最初の世代になるだろうとテレグラフに語った。また生理周期を考慮したトレーニングという文化が、世界中の女子サッカー・チームに広まって、誰もが生理にもっとうまく対処できるようになるとうれしいと話している。