国境を越えた柴犬人気、しかし問題も
フランスではスター犬、ドイツでは子供向き
フランスでの柴犬の増え方も、目を見張るものがある。フランス・ケネルクラブ(SCC)のまとめでは、各年に出生登録された柴犬の数は、1998年は65匹、2008年は326匹、2012年は453匹で、以降上昇し続けて2017年には千匹を超え、そして、2018年には1320匹となった。 柴犬は「スター犬」「流行りの犬」として、テレビ番組などでも取り上げられている。
ドイツでも柴犬は人気を集めている。ドイツ・ケネルクラブ(VDH)での人気犬種ランキング50に柴犬は入っていないものの、VDHの傘下には、2007年に設立した柴犬限定のドイツ柴犬クラブがある。また、こちらのサイトでは、子供がいる家庭にお勧めの犬種32の中に柴犬を挙げている。
スイスでも、人気のある犬種50位の中に柴犬は入っていないが、一定の人気はある。柴犬を含めた秋田犬など日本の犬種のブリーダーらで作った愛犬団体、スイス・アジア・スピッツ系クラブ(SKAS)は、現在160人以上会員がいる。日本の犬グッズも販売していて、「2020年 柴犬カレンダー」は完売した。
柴犬を保護するグループ
アメリカでも人気は高い。アメリカン・ケネルクラブ(AKC)によると、柴犬はアメリカに60年以上前に持ち込まれ、1992年にAKCが認定。AKCの195の登録犬種(世界には340以上の犬種があるそうだ)の人気度を見ると、目下、柴犬は堂々の44位だ。
各地の柴犬人気で、ペット産業が栄え、獣医の仕事も充実してと明るい面もある一方で、同じ飼い主のもとでずっと暮らせない柴犬も出ている。
非営利団体の日本の柴犬レスキュー・イギリスでは、飼い主が亡くなったり病気になったり、離婚や引っ越しをしたりして、もう家にいられなくなった柴犬のために新しい飼い主を探す。どの柴犬もがハッピーな環境で暮らしていたとは限らず、ときには、虐待を受けていた柴犬も連れられてくるという。
おそらく、このような団体に引き渡されるのは一部の柴犬だろう。欧米のすべての柴犬が、幸せな一生を送れるとよいのだが。