経済危機で失業 ピンチをチャンスに変えた夫婦の逆転劇
失敗は、状況が伴わなかったから
市場には他国の強豪がいることはわかっていたが、「ギリシャの食品は高品質だと知ってほしい」「自分の家族に安心して食べさせたいものを、ほかの人たちにも食べてもらいたい」という強い思いで、リアナさんは実父が亡くなって2日後でさえフードショーに出展したりして、果敢にプロモーションを続けた。
「経済危機のギリシャの商品なんて、大丈夫なのか」「高値感がある」と言われたことも、1度ではなかった。販売にうまく結びつかなかったことは何度もある。しかし「品質がよくて、パッケージ費や輸送費などもあるため、価格はこれ以上下げられないのです。ですから、失敗したのは自分たちの個人的な問題なのではなく、状況がそうさせたのだと考えるようにしています」と、常に前向きだ。
エントピアの商品は、どれも、ギリシャの自然の恵みそのものだ。品質は絶対に落とさないと決めていて、そのこだわりに賛同する小売店が増えている。アメリカの巨大食品スーパーのクローガー(Kroger)や、ほかのヨーロッパの国々に輸出し、2018年には韓国で限定販売し、11月に韓国を訪れて複数の企業と継続販売の話し合いをしてきたばかりだ。
幕張の「フーデックス・ジャパン」で、大好評
ヨーロッパには、食通が多く市場が大きい日本に進出したい食品ブランドは多い。リアナさんとタキスさんも、味の違いがわかる日本人にエントピアを是非とも楽しんでもらいたいと願っている。
プロモーションは少しずつ進めていて、2018年には、アジア最大級の食品・飲料専門展示会「フーデックス・ジャパン(FOODEX JAPAN)」に出展した。展示会は業者も一般の人も入場できる。味見できるようにして商品を紹介した(販売は不可だった)。反響はとても大きかった。
「本当にたくさんの方たちが、味見してくださいました。オリーブオイルや、ジャム、ハチミツ、ギリシャの伝統保存食スプーン・スイート(旬の果物や野菜を水と砂糖などで煮る)がとくに人気でした。通訳の日本人の方が、皆さんにこんなに喜んでもらって、商品の説明をするのが楽しい、通訳冥利につきますと言ってくださって、私もとても嬉しかったです」(リアナさん)