都会は屋上産で地産地消 ブルックリン発「ルーフトップ・ハニー」はいかが?
ATasteofRooftopHotelHoney
OLENA SAKHATSKA-iStock
<屋上養蜂に取り組むレストランの独特の料理が話題に。ブルックリンの高級ホテルが目指す究極の地産地消>
「農場から食卓へ」型の地産地消の食材を求める昨今のグルメ。彼らの間で話題になっているのが高級ホテル、ニューヨーク・マリオット・アット・ザ・ブルックリン・ブリッジにあるレストラン「グレートルーム・バー&ラウンジ」だ。
同ホテルの屋上には、ミツバチ約2000匹のすみかである巣箱が2つ。グレートルームでは、ここで採れた「ルーフトップ・ハニー」を使った独特の料理やカクテルを楽しめる。
同店のドミニク・ディナポリ上級副料理長は2017年、地元ブルックリンの養蜂家アンドルー・コートの協力を得て巣箱を設置した。以来、屋上産の純粋ハチミツを素材に、ハニー風味タイ風チリソース添え手羽フライや、ハチミツとピーチ入りホワイトサングリアなど、多彩なメニューを送り出している。
純粋ハチミツの健康効果は計り知れない。抗酸化作用があり、悪玉コレステロールや中性脂肪のトリグリセリドを減らし、炎症を抑えることが分かっているほか、血圧や心疾患リスクを下げる効果を示唆する研究もある。
【参考記事】パリに開店した3ツ星シェフの「無料レストラン」にボランティアとして潜入したら...
ディナポリは、同じくニューヨークにあるウォルドーフ・アストリア・ホテルで働いていた当時、敷地内に巣箱を設置したこともある。ミツバチは「持続性への真の貢献者」であり、世界各地で相次ぐミツバチの大量失踪現象に立ち向かうとともに、 ハチが支える受粉システムを守るためにやれることをしたいと願っているという。
「私たちは事業者として、常に地元への還元を意識している。(養蜂ほど)地域に密着した在り方はない」と、ディナポリは本誌に語った。「この新鮮な黄金色の自然素材を独創的に用いる手法を編み出してきた」
ホテル内のショップでは、瓶詰にした屋上産ハチミツも販売。建物の4階には観察スポットが設けられ、ガラスの仕切り越しにミツバチの活動を見守ることができる。
巣箱の設置はブルックリンらしさをたたえる取り組みの一環だと、総支配人のサム・イブラヒムは言う。
「当ホテルは地元に溶け込み、ゲストに最高のブルックリン体験を提供している。地元産ハチミツの生産は、ブルックリンに根差す姿勢の究極の形だ」