テスラ第1四半期納車台数は前年比マイナスか、競争激化や不買運動など響く

米電気自動車(EV)テスラは4月3日に2025年第1・四半期の納車台数と生産台数を公表する。写真は、テスラ販売店の外で、イーロン・マスク氏に抗議する住民ら。3月6日、カリフォルニア州パロアルトで撮影(ロイター/Carlos Barria)
Akash Sriram Abhirup Roy
[31日 ロイター] - 米電気自動車(EV)テスラは4月3日に2025年第1・四半期の納車台数と生産台数を公表する。ビジブル・アルファがまとめたアナリスト15人による最新の予想平均に基づくと、納車台数は約37万3000台。これはイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の政治関与に対する世界的な反発と不買運動や、競争激化などを踏まえて過去30日間に修正された数字で、前年同期比3.6%の減少となる。
中国と欧州で競争の高まりや、モデル改定待ちの買い控えがテスラにとっての逆風だ。さらにマスク氏が「政府効率化省(DOGE)」トップとして進めている歳出と政府職員の削減を巡ってテスラ車の主な顧客であるリベラル層から怒りの声が上がり、幅広い抗議活動が起きている。データからは、テスラ車オーナーの別のメーカー車への買い換えが記録的水準に達していることもうかがえる。
テスラ株を保有するマホニー・アセット・マネジメントのケン・マホニー最高経営責任者(CEO)は「実質的に世界全体でテスラのブランド価値が大幅に損なわれ、一般的な上場企業が本来望むよりもはるかに政治色が濃くなってしまった」と指摘した。
こうした中で一部のアナリストや投資家は、最新予想の納車台数でさえ楽観的過ぎるかもしれないと警戒している。
テスラ株主のグロバルト・インベストメンツのシニア・ポートフォリオマネジャー、トーマス・マーチン氏は「納車台数は40万台を割り込み、場合によっては35万台まで落ち込むかもしれない」と述べた。
ドイツ銀行のアナリストチームは、34万-35万台と予想する。
業界団体のデータやアナリストの推計では、1-2月のテスラ車販売台数が米国、欧州、中国のいずれでも減少したことが示された。人気の高い「モデルY」が刷新されるのを待っていた顧客の存在も需要冷え込みにつながっている。
新しいモデルYは2月下旬に中国で、3月に米国と欧州で発売が始まった。
ただテスラは年内に既存プラットフォームに基づくより手頃な価格の車種を投入すると表明しており、そうした車の登場を待つ顧客も多いため、需要回復にはまだ時間がかかるとの見方も聞かれた。
テスラは値引きや低金利ローンなど各種販売促進策も講じているが、今のところ欧州では効果が乏しいように見える。欧州では、マスク氏が右派政党を支援していることへの嫌悪感が強い。
中国市場は、地元のBYD(比亜迪)などが価格面で攻勢を強め、過去1年で少なくとも6車種を投入していることなどから、テスラの販売台数が減少している。