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もうハンバーガーじゃない? 健康志向のファストフードサラダ、米「スイートグリーン」の躍進

2018年12月03日(月)13時00分
寺町幸枝

農家から直送される野菜を使うサラダが好評 Food Insider-YouTubeより

<米国でヘルスコンシャスな若い世代に支持され、確実に販売網を拡大してきたサラダファストフードチェーンが2億ドルもの増資を発表した>

11月13日、2億ドル(約228億円)の増資を発表した米国のサラダ専門ファストフードチェーン「スイートグリーン(Sweetgreen)」(本社:米国カリフォルニア州カルバーシティー)。単にサラダを提供するだけでなく、最新テクノロジーを導入し、積極的なコミュニティー作りを行なう中で販売網を拡大してきた。

今回の増資で、時価評価額10億ドルを超えるユニコーン企業となった同社は、さらに拠点を拡大する一方、今後は顧客へのカスタム対応したサラダの提供や、新規業態への発展も視野に入れているという。

アリババ、ウーバーと並ぶユニコーン企業

サラダを販売するだけのレストランチェーンが、アリババやウーバーと並び、時価評価額10億ドル(約1140億円)を超える未上場のベンチャー企業の称号「ユニコーン企業」になったニュースは、その週、全米のビジネス界において話題の的となった。

今から約10年前、名門私立大学ジョージタウンのビジネススクールを卒業した3人の起業家、ニコラス・ジャメット、ネイサニエル・ルー、そしてジョナサン・ニーマンは、ウォールストリートで働く代わりに、農家から直送された野菜を扱ったサラダ専門のファストフードレストラン「スイートグリーン」を開業した。

現在全米8つの州で、90店舗を運営する同社は、アプリによる事前オーダーはもちろん、昨年には全店で「キャッシュレス」を導入。これまでも「最新テクノロジーを導入したファストフードチェーン」として、常に業界の先頭を走ってきた。

このニュースをいち早く報じた米フォーブス誌によれば、今後同社はただのレストランチェーンを超え、そのデータ分析力を持って、さらに顧客ごとの「カスタマイズされた」サービスを提供しようとしているという。

「我々は(顧客の)好みや(必要とする)栄養素をもとに、これまでとは違う食べ物を提供したいと考えている」とは取材に答えたスイートグリーンの共同CEOの1人、ジョナサン・ニーマンの言葉だ。

コミュニティー作りなしに、ビジネスの成功はない

とはいえ、「スイートグリーン」のビジネスが、開業当初からファストフードチェーンとして完璧だったわけではない。米国のビジネス専門誌インクの取材に答えた共同CEOの1人、ニコラス・ジャメットは、2店舗を開店した時に大きな転機が訪れたと話す。

「1店舗目が好調だったので、より人気のある街の中心部に店を出した。PRチームを雇い、告知に力を入れたにも関わらず、初日も2日目も、そして3日目もほとんど人が来なかった。すでに1カ月後に3店舗目の出店を計画していたので、非常に焦った」と当時の様子を語った。

最終的に、同社の創業者たちは、週末に大きなスピーカーとDJブースを設置し、「自分たちがかっこいい、良いと思う音楽」を大音量で店の前で流したという。音楽の力を借りて注目を集めれば、人が店に寄ってくる。そして自分たちが提供しているサラダを味見して、買ってくれるかもしれない。そんなことを想像し、一か八かやってみた行動が功を奏したという。彼らが選んだ音楽を気に入り、徐々に客が客を呼び、すぐに30~40人が行列をなす店に成長したというのだ。

この経験から、創業者たちは開業して間もない段階で「その街角、そのエリアでいかに自分たちのコミュニティーを築けるか」という明確な事業指針を確立した。そして、以来1店舗ずつ「着実に」拡大をしてきたという。

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