兄弟でパートナー婚! 結婚よりパートナーシップ? どうなってるイギリスの結婚制度
どちらを選ぶカップルにも、それぞれのこだわりがある。また、伝統的な結婚のかたちには宗教の影響が大きい。性的な関係を結婚するまで禁ずる宗教もあり、信者同士であれば未婚のままで子供を作るということは考えられない。
さらに、結婚は個人だけでなく家と家との結びつき、という見方は、インド系あるいはイスラム系イギリス人のコミュニティーに多い。この中では適齢期の男女がいつまでも結婚しないのは、世間体が悪いとか、収入の高い男性の家に嫁ぎ専業主婦となり、男子を産むことが女性の幸福、などと日本人にもわかりやすい結婚観が聞かれる。
中流層のイギリス人には無宗教でリベラルな人が多い。女性も経済的に自立していて、旧型の結婚とは男性が女性の所有を宣言する不平等な制度だと見る。同棲のままか、シビル・パートナーシップを選ぶ層だ。逆に上流階級になると、昔から良家同士がつながりを持つために結婚を利用してきたが、そういった慣習がなくなった現代でも、結婚する当人同士が社会的な地位や経済的な結びつきを強く意識していることも多い。
どういう考えを持つカップルにも柔軟に対応できる、と言えそうなのがイギリスの結婚制度だ。そう思っていたら、まだ話は終わりではなかった。
兄弟姉妹でのパートナーシップを認めて欲しい
今度は、兄弟姉妹の間でこのシビル・パートナーシップを結びたい、という人たちが登場した。BBCのニュースに現れたのは、シングルマザーとなった姉を助けて共に子育てをし、家も共同名義で購入した妹、バージニア・アトリーさんだ。 法的に夫婦と同じ相続権などが得られる「人生の正式なパートナー」として認められることを主張している。もちろん、二人の間には性的な関係はない。姉のキャサリンさんは「生まれてからずっと一緒で、波風を乗り越えて共に暮らしてきた妹とは血の繋がり以上のパートナー。シビル・パートナーシップでは他人としか法的なパートナー組みができないのは差別だ」と語る。
この二人だけではない。全国でかなりの数の兄弟姉妹が同じような望みを持っていることが、昨年7月に提出された修正案からわかる。まだ審議は始まったばかりだが、修正を支持してきた保守党議員エドワード卿による「兄弟がパートナーになってもいいのでは?」というツイッター上でのつぶやきに「気が狂ってる」「次は親子婚か?」など否定的な書き込みが相次ぎ、炎上しかけた。
イギリス人は今もまだ、結婚の意義、そして誰かと人生を共にするということの意味を問い続けている。