性器を握り、触る......「捕食者」と呼ばれる国連高官の手口と国連の闇
A CANCER IN THE U.N.’S CORRIDORS
外交特権で罰を受けない?
監査・調査室による調査は、既に14カ月目に入っている。カルカラには質疑応答の機会が与えられたが、彼がそれに応じたかどうかは分からない。いずれにせよ、調査結果は国連開発計画の法的支援部門に報告され、その後の措置を待つことになる。
国連の高レベルの職員であり、犯罪歴のないカルカラは、国連あるいは母国インドに守られて、警察当局から起訴もされず、民事上の責任も免れる可能性がある。そうなれば、いかなる処罰も受けないことになるだろう。
外交特権によって守られている以上、アメリカにできるのは彼を国外追放にすることだけだと、前出の弁護士ザイドは言う。「アメリカは彼をペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)と宣言し、アメリカを去るよう求めることはできる」
ザイドによると、外交特権を放棄した例もある。97年、在米ジョージア(グルジア)大使館の1等書記官だったゲオルギ・マハラゼが飲酒運転でメリーランド州の少年を死なせたときがそうで、マハラゼは連邦裁判所で裁かれ、過失致死の罪を認め、7年から21年の刑を宣告された。
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このように、国連あるいは母国の政府が外交特権を放棄することはあり得るが(マハラゼの場合はジョージア政府が外交特権を放棄した)、実際にそうすることは極めてまれだとザイドは言う。外交特権を放棄すれば現地の法律で裁かれるからだ。「(国連の高官として)外交特権があれば、事情は全く違ってくる。殺人も含めて、あらゆる犯罪で起訴されずに帰国できる可能性がある」と、彼は言う。
そうは言っても、国連にはセクハラ禁止の立派な行動規範がある。「暴力による、あるいは非対等または威圧的な状況の下での、性的な肉体的侵犯の実行、またはそうするという脅迫、性的な目的を持って、相手の弱い立場や権限の格差、相手の信頼に付け込み、あるいはそうしようと試みること」などを含め、性的虐待や搾取は絶対に許さないとしている。また「取引の条件としての性行為や、その教唆、搾取的な関係」も禁じられている。
国連は世界の巨大組織の模範として、率先して新しい時代に適応する姿を見せるべきだ、と言うのはセクハラ担当報道官のセンだ。「尊厳と尊敬、そして自治。そういう価値観を組織の隅々まで行き渡らせる必要がある。残念ながら、今はどれも、驚くほど足りていない」
彼女の嘆きは、尊大な男たちの耳にも届くだろうか。