女性の心臓発作、女性医師が担当する方が男性医師より高生存率
女性医師を雇うのは「労働力の多様性以上の価値がある」
この差がどうしてできたのかについては、明確な答えはわかっていない。しかしギズモードによると調査チームは、「男性の医師は女性患者とのコミュニケーションに難点があり、心臓発作の重症度を正確に判断できない」、「女性の心臓発作は男性とは異なる症状がある場合もあるが、男性と同じだと思い込んでしまう」、などの可能性を挙げているようだ。しかしギズモードもサイエンティフィック・アメリカンも、「単に女性医師の方がスキルがあるから、という可能性もある」とも記している。
なお今回の調査では、男性の救急医に女性の同僚が多ければ多いほど、女性患者の生存率が上がる、ということも明らかになっている。これは、女性医師が女性患者をうまく処置しているのを見てそこから学べたり、女性の同僚に助言されたり、といった「スピルオーバー効果」のようなものが男性医師に生まれたのかもしれない、とグリーンウッド博士はサイエンティフィック・アメリカンに説明している。
グリーンウッド博士はまたギズモードに対し、患者の多様性を理解することが重要であるだけでなく、医師の多様性も確保しなければいけないことを今回の調査が示していると話した。
サイエンティフィック・アメリカンは、心臓発作における生存率に関する男女差についてはさらなる研究が必要だとしている。しかしながら、エモリー大学医学部で救急医を務めるミシェル・ラル医師(今回の調査には参加していない)は、「この調査は、女性医師をもっと増やせば、より多くの命を救えるようになるかもしれないことを示唆している」と指摘。さらに、「緊急医療で指導的立場にいる人たちがこれを読んで、女性医師には単に労働力の多様性という以上の価値があるのだ、と考えるようになってほしい」とサイエンティフィック・アメリカンに期待を語った。