客室乗務員は乳がんや皮膚がんの罹患率が高い──研究結果
米国の客室乗務員で「がんと診断されたことがある」と答えた人は? B&M Noskowski-iStock
<女性に人気の職業だが、その健康リスクに関する気がかりな研究結果が明らかに>
運行中の旅客機の客室で保安業務や乗客へのサービスを提供する客室乗務員(CA)は、とりわけ日本で女性に人気の高い職業のひとつであり、近年は、国内空港での国際線発着数の増加や訪日外国人の増加に伴って、その需要も増えつつある。このように雇用環境が前向きになる一方で、客室乗務員の健康リスクに関して気がかりな研究結果が明らかとなった。
米ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、米国の客室乗務員のがん罹患率について調査し、2018年6月25日、その結果をまとめた研究論文を学術雑誌「エンバイロンメンタル・ヘルス(環境衛生)」 で発表した。
この調査結果では、一般人に比べて、客室乗務員の非メラノーマ性皮膚がんの罹患率が高いことが初めて示されたほか、乳がん、子宮がん、消化管がん、甲状腺がん、子宮頸がん、メラノーマ性皮膚がんでも、より高い罹患率がみとめられている。
ハーバード公衆衛生大学院では、連邦航空局(FAA)の助成のもと、専門プロジェクト「ハーバード・フライトアテンダント・ヘルス・スタディ(FAHS)」を2007年に立ち上げ、客室乗務員の健康について調査してきた。
とりわけ乳がん、皮膚がんが高い率
このほど公開された調査結果は、2014〜2015年に収集したデータに基づくもので、米国の客室乗務員5366名が、自己申告により、健康状態や症状、職歴、性格などについて回答した。なお、回答者の8割が女性で、平均年齢は52歳、平均勤続年数は20年であり、その15%が「過去にがんと診断されたことがある」と答えている。