歴史を作るオバマ2期目のシナリオ
障害になるのは共和党だ。もしも選挙に負けた共和党がさらに右傾化すれば、オバマがレーガンのような成果を挙げることは不可能になる。
共和党議員は理解すべきだ。共和党の敗北は財政の問題で譲歩しなかったせいであること、移民法改革に反対すれば共和党は存続できなくなること、そして税制改革は両党にとって共通の目標であることを。だが今の議会共和党には
中道派がほとんどいないから、妥協は難しいかもしれない。
それでも、妥協の姿勢を見せたほうが選挙で有利だと理解し始めた共和党員もいる。上院選にインディアナ州から出馬したリチャード・マードックも、当選したら「誰とでも協力する用意がある」と語っている。
ティーパーティー寄りとされる上院議員のジム・デミントでさえ、こう発言している。「税収を増やすというオバマの希望に応えなければ国防費が足りなくなる」。共和党にも、党利にこだわって問題を大きくするより、問題解決に貢献したいという考えはあるはずだ。
11月の選挙で大敗すれば、共和党員にも国民としての自覚が戻るだろう。狂信的な人々の目を覚まさせるのは敗北だけだ。共和党穏健派はその敗北を足場とすることができる。
オバマが再選されれば、共和党を中道寄りに引き戻せる。レーガンの成功が民主党を中道に導き、クリントン大統領の誕生につながったのと同じだ。
今の共和党にも、いずれ中道派として大統領候補になれるような人材はいる。だが今回ロムニーが当選してしまったら、彼(彼女)のチャンスは遠ざかってしまうだろう。
「収穫の時期」はこれから
筆者の話を、夢見がちなリベラル派の妄想と笑う人もいるかもしれない。80年に高校生だった私はレーガンのバッジを着けていたが、それは08年にオバマのTシャツを着たのと同じ理由からだ。政策は違っても、2人とも自分が直面するさまざまな課題を正しく認識していた。真の危機にあっても、ライバルより大きな理想を抱いていた。
4年前に多くのオバマ支持者が抱いた希望は偽物ではなかった。私たちは奇跡を夢見てはいなかったが、その1年後にアメリカを経済的、倫理的にどん底に引きずり込んだ勢力に必死で抵抗していた。オバマはその勢力と現実的に粘り強く闘った。
オバマは、失敗のない大統領になるとは約束していない。国民の努力が必要だと説いてもいる。4年前の就任演説でも「私たちが直面する難関は現実であり、深刻であり、たくさんある」と語っていた。
そんななかでも、彼は1期目にイラクから予定どおり撤退し、第2次大恐慌を防ぎ、雇用を回復させ、自動車業界を救い、テロ容疑者への拷問をやめさせ、軍隊における同性愛者への差別をなくし、同性婚への支持を明言した。これでもまだオバマに失望したとか裏切られたとか言う人がいれば、おそらく彼らは本物の変化を真剣に望んでいたわけではないのだ。