米追加関税、対策に万全期す 全国1000カ所に特別相談窓口=石破首相

4月1日、石破茂首相(写真)は、2025年度予算の成立を受けた記者会見で、トランプ米政権が表明している自動車などへの追加関税措置について「日本が米国への最大の投資国であることも踏まえ、引き続き除外を強く求めていく」と述べた。写真は昨年11月、都内での代表撮影(2025 ロイター)
Kentaro Sugiyama
[東京 1日 ロイター] - 石破茂首相は1日、2025年度予算の成立を受けた記者会見で、トランプ米政権が表明している自動車などへの追加関税措置について「日本が米国への最大の投資国であることも踏まえ、引き続き除外を強く求めていく」と述べた。その上で、国内産業や雇用への影響を精査し、必要な対策に万全を期すと語った。
米国の措置が発動された場合、短期の対応として直ちに全国約1000カ所に特別相談窓口を設置するほか、企業の資金繰りや資金調達の支援を行うことも表明した。これらの具体的な内容について、早急に与党と調整すると語った。
自身がトランプ大統領に直接働きかけをしていく考えがあるか問われた首相は、「必要であれば赴くことに何ら差し支えはない」とする一方、「まずは担当が積み上げ、全体像が見えた時点で行くことが適当と判断されれば躊躇なくそのようにする」と述べた。
<解散総選挙や連立組み替えを否定>
内政では、賃上げこそが「成長戦略の要」であり、物価上昇に負けない賃上げを実現・定着させなければならないと述べた。最低賃金引き上げに向けて5月までに効果的な対策を取りまとめるほか、円滑な価格転嫁のための新たな政策パッケージを6月までに策定すると表明した。
ガソリンは小売価格が全国平均で1リットルあたり185円程度となるよう支援を継続する。暫定税率の廃止については「安定的な財源確保など諸課題を解決するために必要な法改正に向けて、真摯な政党間協議が加速されていく」との認識を示した。
25年度予算は3月31日に衆院本会議で再議決され、自民、公明、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。教育無償化を柱とする折衷案で年度内成立にこぎ着けた。景気に水を差しかねない暫定予算編成を回避したものの、石破政権はこの先も衆院の議席数が過半数に届かない少数与党による厳しい国会運営を強いられる。
少数与党の状況打開に向けて、解散総選挙や衆参同日選挙、連立与党の組み替えに踏み切ることは現在全く考えていないと述べた。その上で「この状況のもと、新たな思いで謙虚に真摯に全力で取り組む、このことに尽きる」と語った。
内閣支持率が一段と低下する中、自民党内や与党の結束を強められるかも重要課題となる。首相は会見の冒頭、自身の商品券配布問題について「国民の感覚からかけ離れたということは率直に認めなければならない。改めて深くおわび申し上げる」と陳謝。「支持率の低下はすべて私の責任。猛省の上に信頼を回復すべく務めていくほかない」と述べた。