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米外交駐ロシア米大使の過激なツイッター外交
ツイッターで夜遅くまで独裁批判を発信するマクフォール大使は民主活動家の人気者だが
反独裁 マクフォール大使はプーチンの目の上のたんこぶ Sergei Karpukhin-Reuters
今年1月にロシアに着任したマイケル・マクフォール米大使はスタンフォード大学の学者出身。自ら「外交官としての話術はまだ完璧ではない」と語る。
マクフォールの発言は既にロシア政府を怒らせ、外交のプロとして失格との批判を浴びた。だが独裁的な政治手法に反対する姿勢から、ロシアの民主活動家の間で彼の人気は高い。
マクフォールはオバマ米大統領のために米ロ関係「リセット」政策を構築した立役者の1人。アメリカはこの政策で、何年もの間に生じた両国間の緊張を解消することを狙った。
雪解けは進んでいるように見えた。だが今年5月、ウラジーミル・プーチンが大統領に再任し、モスクワで大規模な反政府デモが起きると風向きが大きく変わった。マクフォールは着任早々、難しい状況に直面させられた。
彼がロシアの民主活動家の訪問を受けたのは、着任後1カ月もしないときのこと。ロシアの体制側メディアは、マクフォールは反政府勢力と陰謀をめぐらしていると非難した。
それ以来、マクフォールに対するプーチン派の攻撃は激化する一方。マクフォールは電話が盗聴されたり、ツイッターと電子メールが不正工作の標的になっている可能性があると述べた。
マクフォールは5月、ロシアがキルギスに賄賂を贈って同国内の米軍基地を閉鎖させようとしたと発言し、さらに緊張が激化。ロシア外務省は、アメリカも賄賂を贈ったと反撃した。
マクフォールの率直さはロシア政府を怒らせたが、民主活動家と若者には称賛された。彼はツイッターを利用して、時には夜遅くまでメッセージを発信している。結束の固い反政府勢力の人々の間で、マクフォールはネット上のスターとなり、真の21世紀型外交官となった。
マクフォールはロシア政府の非難に「対応する必要はない」と言ったが、放置し続けるわけにはいかないだろう。プーチンは反政府勢力指導者の抑圧のために強硬姿勢を取り始めた。内戦状態を呈するシリア問題への対応でも、アメリカとロシアの意見の食い違いが目立つ。
先日、大規模な反プーチン集会が開かれた際、ツイッターでマクフォールの「つぶやき」はあまり聞かれなかった。だがマクフォールのファンも批判者も、彼の沈黙が長く続くはずはないという点では同意見だった。
[2012年6月27日号掲載]