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米中摩擦中国、突如アメリカ車に追加関税の脅威
米自動車業界に対する報復として最大22%の追加関税を発表した中国政府の真意と世界経済への影響
成長に陰り 狙いは国内産業の保護?──今年4月、上海モーターショーに出展したGM車 Carlos Barria-Reuters
不安定さを増す世界経済にとっても、米自動車産業界にとっても由々しき事態だ。
中国商務省は12月14日、アメリカから輸入している排気量2.5リットル以上の乗用車やSUV(スポーツユーティリティー車)に対して追加関税を課すと発表した。こうしたアメリカ車を不当に安く販売するダンピングが行われているというのが理由だ。
ロイター通信によれば、追加される関税率は最大22%。アメリカから輸入される自動車には現在25%の関税が課されているが、これに上乗せされる形となるだろう。
今回の発表に対し、アメリカの議員らは素早く反応した。「中国は国際的な貿易規定を容赦なく破り、自由競争に反するやり方でアメリカの自動車メーカーと労働者に対して優位に立とうとしている。アメリカも躊躇なく反撃しなければ」と、ミシガン州選出のデビー・スターベナウ上院議員は言う。
スターベナウの主張には下院議員4名も賛同。中国側の動きは「不当」で「アメリカとその他の貿易相手国に対する許されない報復行為」だとし、米通商代表部が対応に乗り出すよう訴えている。
世界最大の自動車市場である中国との貿易を積極的に推進していた米自動車産業にとって、新たな貿易摩擦は最悪のタイミングといえる。
とはいえ実は、中国における自動車販売数はここにきて劇的に減少している。中国政府は国内産業を守るために介入へ動いたとみられる。
「今回の動きは、中国政府が市場にいつでも政治的に介入できることを示している」と、ドイツの金融機関バンクハウス・メッツラーのアナリストであるヨーガン・ピーパーはブルームバーグに語った。「自動車産業の成長は中国にかなり依存しており、今後の拡大ペースに懸念が生じている」
今回の騒動は、自動車貿易をめぐって米中がこれまで繰り広げてきた争いの延長線上にある。
バラク・オバマ米大統領は09年、中国製タイヤに対する輸入制限措置として35%の追加関税を課した。中国はこの動きに強く反発したが、今年9月には世界貿易機関(WTO)がアメリカの措置は合法との判断を下した。今回の中国側の追加関税は、この一件をめぐるアメリカへの報復とみられる。
世界経済を動かす2大経済大国である米中が、本格的な貿易戦争へ突入する可能性はまだ低い。だがもし現実になれば、壊滅的な影響を受けるのは米自動車産業だけではない。世界全体が深刻な事態に陥るだろう。