「モロ見えスキャナー」が目指す次なる進化
不快感や面倒は技術開発で軽減
自動化の進んだスキャン技術が将来の空港のセキュリティを担っている(それも安全性だけでなく効率という意味でも)というのがラピスキャンの考えだ。
「この最新型空港向け機種では、非常に正確なデータが得られる」とカントは言う。「誤検知は非常に少ない。つまり人の手による身体検査にまわされる人の数は非常に少ないということだ」
一方でラピスキャンは、現在使われている検知ソフトの修正を急いでいる。体の細かい部分が見えないように処理した画像しかスクリーンに映し出されないようにし、異常な点が見つかった場合のみそれを表示するという。
そう遠くない未来、同社のスキャナーはさらに先進的な危険探知システムを搭載し、液体やセラミック、銃器、鋭利な金属の他、武器になりうるさまざまな物や違法な物を検知できるようになるとカントは言う。密輸品が見つかった場合も自動的に表示し、TSAの係官がX線画像を目視で調べる手間を省くという。
長い目で見れば、ラピスキャンは空港でのセキュリティーチェックの不快感を軽減する方向で製品開発を続けている。例えば靴用のスキャナーを全身用のスキャナーに統合し、検査の際に搭乗客が靴を脱ぐ手間を省くとか、立ち止まらずにスキャナーの間を歩くだけで検査できる動的スキャナーの開発など――。
カントに言わせれば、対人スキャンよりも手荷物の検査のほうがハードルが高い。ブラジャーやポケットに危険物が隠されていないかを調べるよりも、物をぎっしり詰めこんだ機内持ち込み用バッグに忍ばせた危険物を見つけるほうが困難だからだ。
カントはまた、同社が搭乗客を対象に行なった調査では99%が人の手で(時には胸や股間まで)触られる身体検査より全身透視スキャナーを使った検査のほうがいいと答えていると主張する。CBSニュースの最近の世論調査でも、アメリカ人の80%以上が空港での全身透視スキャナーの使用を支持しているという結果が出た。
ラピスキャンにとってはありがたいことに、こと空の安全に関してはほとんどの人が生身の人間よりも機械を相手にするほうがましだと考えているらしい。