最新記事

空港検査

「モロ見えスキャナー」が目指す次なる進化

2010年11月25日(木)17時32分
アニー・ラウリー

不快感や面倒は技術開発で軽減

 自動化の進んだスキャン技術が将来の空港のセキュリティを担っている(それも安全性だけでなく効率という意味でも)というのがラピスキャンの考えだ。

「この最新型空港向け機種では、非常に正確なデータが得られる」とカントは言う。「誤検知は非常に少ない。つまり人の手による身体検査にまわされる人の数は非常に少ないということだ」

 一方でラピスキャンは、現在使われている検知ソフトの修正を急いでいる。体の細かい部分が見えないように処理した画像しかスクリーンに映し出されないようにし、異常な点が見つかった場合のみそれを表示するという。

 そう遠くない未来、同社のスキャナーはさらに先進的な危険探知システムを搭載し、液体やセラミック、銃器、鋭利な金属の他、武器になりうるさまざまな物や違法な物を検知できるようになるとカントは言う。密輸品が見つかった場合も自動的に表示し、TSAの係官がX線画像を目視で調べる手間を省くという。

 長い目で見れば、ラピスキャンは空港でのセキュリティーチェックの不快感を軽減する方向で製品開発を続けている。例えば靴用のスキャナーを全身用のスキャナーに統合し、検査の際に搭乗客が靴を脱ぐ手間を省くとか、立ち止まらずにスキャナーの間を歩くだけで検査できる動的スキャナーの開発など――。

 カントに言わせれば、対人スキャンよりも手荷物の検査のほうがハードルが高い。ブラジャーやポケットに危険物が隠されていないかを調べるよりも、物をぎっしり詰めこんだ機内持ち込み用バッグに忍ばせた危険物を見つけるほうが困難だからだ。

 カントはまた、同社が搭乗客を対象に行なった調査では99%が人の手で(時には胸や股間まで)触られる身体検査より全身透視スキャナーを使った検査のほうがいいと答えていると主張する。CBSニュースの最近の世論調査でも、アメリカ人の80%以上が空港での全身透視スキャナーの使用を支持しているという結果が出た。

 ラピスキャンにとってはありがたいことに、こと空の安全に関してはほとんどの人が生身の人間よりも機械を相手にするほうがましだと考えているらしい。

Slate.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NATOプレゼンス強化へ、バルト海ケーブル損傷 エ

ビジネス

キャシー・ウッド氏、トランプ効果の広がり期待 減税

ビジネス

タイ、グローバル・ミニマム課税導入へ 来年1月1日

ワールド

中国、食料安全保障で農業への財政支援強化へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2025
特集:ISSUES 2025
2024年12月31日/2025年1月 7日号(12/24発売)

トランプ2.0/中東&ウクライナ戦争/米経済/中国経済/AI......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 2
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3個分の軍艦島での「荒くれた心身を癒す」スナックに遊郭も
  • 3
    なぜ「大腸がん」が若年層で増加しているのか...「健康食品」もリスク要因に【研究者に聞く】
  • 4
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 5
    「とても残念」な日本...クリスマスツリーに「星」を…
  • 6
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 7
    わが子の亡骸を17日間離さなかったシャチに新しい赤…
  • 8
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 9
    ロシア軍の「重要」飛行場を夜間に襲撃...ウクライナ…
  • 10
    日本企業の国内軽視が招いた1人当たりGDPの凋落
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 5
    ウクライナの逆襲!国境から1000キロ以上離れたロシ…
  • 6
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 7
    おやつをやめずに食生活を改善できる?...和田秀樹医…
  • 8
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 9
    9割が生活保護...日雇い労働者の街ではなくなった山…
  • 10
    なぜ「大腸がん」が若年層で増加しているのか...「健…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 3
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中