瀕死の郵政事業を救う7つの方法
経営難にあえぐ米郵政公社に大胆な改革案を提案しよう
変革のとき 赤字を垂れ流す米郵政公社の非効率なサービスに批判が高まっている Courtesy USPS
アメリカの郵政公社では、19世紀後半から非公式なスローガンが受け継がれている(公式なものは存在しない)。「雨が降ろうと雪が降ろうと、必ず配達します」だ。
もっとも、そこには経済危機や赤字への対応策は書かれていない。郵政公社は政府の援助を受けているが、今年は70億ドル近い損失を計上する見込み。米政府監査院(GAO)は、メディケア(高齢者医療保険制度)や2010年国勢調査とともに郵政公社を「ハイリスク」な連邦プログラムに認定した。
バラク・オバマ米大統領もこの夏、フェデックスやユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)といった競合の民間企業に比べて郵政公社の状況は悲惨だと語り、悲観的な見方に追い討ちをかけた。
窮地に追い込まれた郵政公社の幹部たちは「犯人」を糾弾している。電子メールだ。
メールが普及し、文書や写真をオンラインでやり取りできるようになった結果、今年の郵便取り扱い件数は年間総数の10分の1以上に当たる227万件も減少する見込みだ。
ただし、郵政公社は明確な解決案も提示している。同社への批判を強めている米議会に対し、700カ所の郵便局を閉鎖すると宣言し、郵便料金の値上げもほのめかした。
だが通信の高速化が進むなか、本当にこれが最善の戦略なのだろうか。郵便局で長い列に並ばされた経験がある人なら誰でも、サービスに改善の余地があることはわかっている。
ニューズウィークは経営コンサルタントやフューチャリスト(専門領域にとらわれない広い視点でビジョンを提示する人)に取材し、古臭い郵政公社をカネを稼げる21世紀型のスマートな組織(少なくとも赤字を出さない組織)に変貌させるコツを聞いた。
(1)ネットビジネスに参入せよ
メールを使う人が増えているのだから、彼らのニーズに合わせるべきだ。「子供が生まれたらすぐ、全員にメールアドレスを配ろう」と、フューチャリストのワッツ・ワッカーは言う。もちろん、彼らはいずれほかのメールアドレスを取得するだろうが、郵政公社への親しみの気持ちは残る。しかも、配布アドレスを使った広告配信は見入りのいい収入源になる。
(2)サービスの向上を
郵政公社は配達日を週6日から5日に減らすと提案しているが、逆に週7日に増やすべきだと、ノースウェスタン大学経営大学院のリチャード・ダヴェンニ教授は言う。
赤字の際にサービスを拡充するという提案は不思議に聞こえるかもしれないが、人々が郵政を信頼しないのはいつ届くか当てにできないから。営業時間を短縮してでも、毎日確実に配達することにこだわるべきだ。
(3)クーポンでお得感を演出
古臭い手法に聞こえるが、インターネットに群がる人々を呼び戻すにはインセンティブが必要だ。「アメリカはクーポン社会だ」と、ビジネスコンサルタントのマーリーン・ブラウンは言う。「人々にお得感を感じさせる必要がある」