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米外交

中南米失望、オバマもブッシュと同じ

2009年9月3日(木)16時02分
マック・マーゴリス(リオデジャネイロ支局)

 オバマ米大統領が就任したとき、中南米の左派政権指導者たちは新たな対米関係を築けることを期待していた。それまでの8年間、ブッシュ大統領が中南米の激しい反米主義をあおってきたからだ。

 当初のオバマは前任者と違うように見えた。キューバのグアンタナモ米海軍基地内のテロ容疑者収容施設を閉鎖して同国との関係を正常化すると発表。反米の急先鋒であるベネズエラのチャベス大統領とは握手すらした。ついに中南米の冷戦が終わりつつあると感じた人が多かった。

 そんな期待はやがて失望に変わった。オバマはキューバへの経済制裁も、ブッシュ政権時に科されたボリビアへの制裁も解除していない。6月にクーデターを起こしたホンジュラスにも制裁を加えず、周辺国をがっかりさせた。

 エクアドルに借りていた米軍基地の使用期限が8月に切れた際には、ブッシュと親しかった隣国コロンビアのウリベ大統領に協力を要請。国内の基地使用に合意を取り付けた。コロンビアはチャベスのいるベネズエラのすぐ隣だ。

 こうした姿勢が南米の左派指導者たちに再び火を付けている。チャベスは「戦争」も辞さないと息巻く。結局のところ、オバマはブッシュの友人たちと付き合っているにすぎない。

[2009年9月 9日号掲載]

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