アウストラロピテクスはベジタリアンだった? 太古の人類の食生活も丸裸にする技術とは

狩猟採集生活をしていた先史時代の人類。彼らは何を食べていたのか? Melnikov Dmitriy-shutterstock
<先史時代の人類はいつ肉を食べ始めたのか、証拠は見つかっていなかったが...>
約350万年前に生きていた人類の祖先は、ほぼ完全に菜食主義者だった──。科学誌サイエンスに掲載された研究が話題を呼んでいる。
肉などの動物性食品は人類の進化に不可欠だったと考えられている。だが、先史時代の人々がいつ肉を食べ始めたのかを示す証拠はほとんど見つかっていなかった。
そこで、ドイツのマックス・プランク化学研究所などの研究チームは最新技術を活用。南アフリカで発見されたアウストラロピテクスの数百年前の歯の化石に含まれる窒素の同位体(質量が異なる窒素の種類)を分析した。
食物を消化する際、体は比較的軽い窒素「14N」を尿や汗として排出し、体内にはより重い「15N」が多く残る。植物は14Nが豊富で15Nが少ない。動物の体内に15Nが少なく14Nが多く含まれているほど、食物連鎖の下位にいる草食性が強い動物であると言える。
分析の結果、アウストラロピテクスが肉を食べた痕跡は皆無だった。
REFERENCE
Lüdecke, T., Jennifer N. Leichliter, J. N., Stratford, D., Sigman, D. M., Vonhof, H., Haug, G. H., Bamford, M. K., Martínez-García, A., Australopithecus at Sterkfontein did not consume substantial mammalian meat. January 2025. Science 387(6731):309-314. DOI:10.1126/science.adq7315